第46話 誤解です、お母さん。
翌日〜早朝〜
「起きて!緊急事態!!」
昇りきっていない朝日が弱々しくも力強い光を放つほの暗い早朝に、予定よりもかなり早い時間に4人が眠る客室にかなたがノックもせずに飛び込んで来た。切迫した表情でアルのベッドに駆け寄ると掛布団を掴んで放り投げる。
「ん〜……」
そこにはアルとモモが丸くなって眠っていた。かなたは目をしばたかせて数秒固まった後でアルの胸ぐらを掴んで引き起こし
「モモちゃんに何してんの!!」
と大声で叫んびながら引き起こされた時点で目を覚ましていたアルが何か喋ろうとしているのを無視して力強い張り手を頬に叩き込んだ。その後かなたは
「何もしてない」
「誤解だ」
「モモが勝手に入って来たんだ」
「どうしてこんな早くに母さんがココにいんの?」と言うアルの言葉を無視し続けた。
他の3人が目を覚ましてかなたをやっとの思いで止めたその時
「かなた!早く!!」
そう叫びながら大きな台車を押して勇護が部屋に入って来た。勇護は馬乗りになって息子の悪戯を怒っている感じの妻とその妻を3人がかりでとめている同じ部隊の仲間、という早朝の不思議な風景を華麗にスルーして部屋に入ると4人の荷物を集めた。
「緊急事態だ!標的が――ッ詳細は飛行機の中で話す!!飯は機内だ、今すぐ3番ゲートに集合!」
と言うと集めた荷物と息子から引き剥がしたかなたをを台車に乗せ走り去って行った。
4人は大急ぎで服を着替えると黒いブーツを履いて装備とは別に枕元に置いてあった拳銃をホルスターに入れ、予想外の事態に早朝から慌ただしく動き始めた基地の中を空港の3番ゲートに向かって走り出した。