第44話 去った親父と来たメール
結局勇護が目を覚ましたのは4人がケーキを食べ終え暇を持て余し始めた頃だった。アルの華麗な踵落としが決まった方の脇腹を手で押さえ
「後でそこのパソコンにメール送っとくから見といてくれ」と言ってフラフラと去って行った。その顔はかなり憔悴していた。開いた扉が勇護を隠しきる寸前に
「威厳が…」と言う悲しげな呟きが聞こえた。
「モモ、パソコンに電源いれといて、ところで……大丈夫なのか…あのオヤジがサポーターで…」
「明日までショックを引っ張ってなきゃ大丈夫よ……多分…」
「不安だね…」
「不安ですね…」
唯一不安を感じていなかったハルも3人にサポーターについての説明を聞き、不安を感じだしたようだ。その時、
『ピピピピ――ピピピピ――ピピピピ』
つい数分前に電源を入れられ低い唸りをあげていたパソコンが軽い電子音をあげた。
「あ、メール……あんだけ疲れてたにしては早すぎない?」
アルは疲れからかいつもより物事に不信感を抱きやすくなっているらしい。
「ホントだ、早いね。開けるよ、え〜っと………『明日のサポートは勇くんと私でするからヨロシクネ。内容は基本的には状況を無線で連絡すること、有事の際の狙撃の2つだけです。』だって」
「あ〜母さんか……」
「あ…アル、まだあった。『追伸、勇くんがなんか落ち込んでるけど心当たりがあるなら私の部屋に来なさい、久し振りだけど逃げたらどうなるかは覚えてますか?』だってさ、ねぇ……コレってもしかして…」
モモが油のきれた機械の様な動きでゆっくりと振り向くと
「ヤバい…ヤバいヤバいヤバい!!どうしようモモ!!」