第38話 着陸成功。 ジープに乗ったオヤジ
「4・3・2・1…はい後輪ついた……あ、くそぅ、…着陸、ふ〜、シートベルト外していいよ」
途中
「あ、くそぅ、」と呟いたものの無事着陸を終えた葵が息をついて目をつぶる。
「アオちゃんお疲れ、さぁ皆、降りようか。」
アルが荷物を背負いドアに向かう。
「アオ姉おつかれ!!」
「お疲れ様でした」
「……オツカレ」
「はいオツカレサマ、後で合流するから先行ってて」
各々が葵に労い言葉をかけ、葵は言葉を返し染赤を降りる4人を見送った。中央のラインから大分ずれて止まった染赤は2台のトラックに牽引され格納庫に向かう。3人が南部基地に向かい歩いていると1人の男がジープに乗って近付き大きく快活な声で半ば叫ぶように話しかけた。
「いよッス!!久し振りだな梓!!それにモモ、和秋………とお前は新入りか?」
「本名を呼ぶんじゃねぇ、クソ親父!」
アルは男を睨みつけ噛みつくように言う。
「なんだよ梓、まだ馴れてないのか?それにお前…アルとか呼ばれてるらしいがそのあだ名は逃がした敵につけられたもんだろうがよ、姿見られてその上逃がしたなんて狙撃者として2流もいいとこだ。お前は白髪たら目の色たら肌の色たら特徴多いんだから気ぃつけろ。基地出て街歩けなくなんぞ、そんで『アルビーナ=オッド』なんてどこがいいんだよ。『梓』のほうがよっぽどいいだろうが、なぁ新入り!!」
「そうですね…梓は桜に似て綺麗な木ですし梓弓は魔避けに鳴らす弓でその上柔軟で強靭、考えられたいい名前だと思います。アナタが考えたんですか?」
「おぉう……いや、俺と嫁で考えたんだ…博学だな新入り!気に入った!!!」
早口でまくしたてハルに話をふって返ってきた答えに驚き、その後大笑いした後で親指をたててやはり叫ぶように言った。