第33話 夜が明け〜任務説明、移動〜
翌日
朝5時00分
まだ昇りきっていない太陽が弱々しい柔らかな光を世界に放っている。
「平和な世界」を絵に描いたような風景。だが今日も、争いは続いている。
本部長室では任務の説明を受ける4人の姿があった。
「――――以上。説明を終える。今回は急な任務になって申し訳ない。しかし今回の任務は世界の平和を保つ上で重要な任務だ。頑張って励んでほしい。――聞きたい事があれば移動中にアオさんに聞いて下さい。みんな、必ず戻って来るように。健闘を祈っています。」
本部長が本部長らしい厳しい口調で説明を終え、家族のような優しい口調で付け加えた。
〜WPM空港〜
基地から程近い平地には空港がある。それぞれ何機かあるヘリ、飛行機は倉庫に収まっている。4人は空港の門までバスに乗って移動した後、和秋を除く3人は雑談をしながら装備を背負って倉庫まで歩く。
「ところでさ、何番だったっけ?」
一緒に歩いている3人にアルが主語の無い質問をする。
「1番。」
4人の内で一番小さく、今まで会話に参加していなかった1人だけやたらと大きな荷物を台車に乗せて押している和秋が簡潔に答える。
和秋は細いがシッカリとした体つきをしていて、顔は中性的。しかし体調が悪いのかと思う程に色が白い、むしろ青白いと言うにふさわしい色だ。白皮症のアルよりも白い。さらに肩にかかる程の長さの真っ黒い髪が目にかかっているせいで不健康な印象を受ける少年だ。
「1番かぁ」
アルが一番遠くの倉庫を見ながら呟く。
「お父さんの話聞いてなかったの…?」
眉を寄せて不機嫌な顔でアルを睨むようにして見る。ちなみに和秋の父は本部長ではない。
「聞いてたよ、だいたいね。けどさ、昨日は銃工房にいったりハル君にギター教えたりで疲れてたんだ。そこに任務が舞い込んだもんだから疲れが残ってね。」
「そう。じゃあいい。」
短く言うとまた顔を正面に向けて黙々と歩いた。