第29話 趣味はナニ?
夜〜ハルの部屋〜
ハルの部屋は壁に掛った銃やナイフ、ベッドと机、小さなタンス以外は何も置いていない、キッチンがリビングと区切られているため寒々しさすら感じる生活感の無い部屋で3人は会話をしながらトランプを楽しんでいた。
知っているゲームをほぼやりつくし、ハルがトランプを片付けている時にモモが前振りなく、いきなり言った。
「ねぇハルくん。ハルくんの趣味ってなに?」
いきなりの質問にハルは少し困ったような笑顔を浮かべた。
「あ〜俺も知りたいな。ハルくんの部屋生活感無さすぎだよ、趣味とか全然わからんもん」
ハルの顔が見えない位置に居たアルは
「困ったような笑顔」を無視した。
「趣味とかそういうのは…無いんです。本部長に拾われてからはこの人の役に立ちたいってずっと訓練してましたから……本部長は色々させてくれましたけど、趣味とまでは……すみません、暗くなっちゃって、僕、コーヒー持ってきます。」
後悔はしていない、お陰で昨日は役に立てた。ただ、生死を共にする友人に語れるだけの趣味が無いことが寂しい。ハルは苦笑いのままキッチンに向かった。
「ハルくん、ちょっと待っててね!すぐに戻るから!!」
「私も!ちょっと取って来る!!」
「えっ?ちょっと、取ってくるって……」
そこまで言った時にはもうドアは閉まっていた。
「…取ってくるって…何をですか…?」
質問する相手はもう部屋を出ていってしまったが、なんとなく決まりが悪くハルは質問を一応最後まで言った。