第23話 完成。ゼクト、ゴラエス、ランブレッタ
「よっしゃ、じゃあ座敷まで来てくれ、俺も造りかけがあるから工具も出してある。白髪と百恵は適当にイチャついてろ」
そう言うとハルの腕を掴んで引っ張った。後に残されたアルとモモはゴム弾を詰めた銃を玄慈の出ていった扉に向けていた。
2時間後
「飽きたねぇ」
「あぁ、飽きた。オカゲで微調整バッチリ、まぁ今頃は名前でもつけてんじゃない?」
座敷
「ッッできたー!ありがとうございました!!久しぶりに作ったから不安だったんですけど玄慈さんのおかげで思い描いてた通りの銃が出来ました!」
ハルは嬉しそうに笑う。
「お、そりゃよかったな。いやーけど陽菜は才能あるわ。さて、じゃあ名前決めるか!名前!!」
やりきった。という顔と声で清々しく言った。
「え?」
ハルは突然の提案にうろたえる。
「え?じゃねぇ、名前だ名前。量産型じゃねぇ自作の銃には名前をつけなきゃ始まんねぇじゃんよ」
玄慈はさも当然の事を言ったように腕を組んでため息をつく。
「そうなんですか?じゃあ…………
「ゼクト」なんてどうでしょう?」
玄慈の態度を見たハルは『あぁそういうモノなのか』という顔をして少し考えた後言った。
「ほ〜、その心は?」
「神話の中で魔神の側近をつとめる3匹の黒犬の1匹です。」
「魔神の側近か…いいじゃねぇか、いいセンスだ。」
「ところで、この銃の名前はなんていうんですか?」
「あ〜、まだ考えてねぇや。完成してからつける派なんだ。」
ハルは『僕の銃の名前を完成後すぐに聞いたクセに』と思ったが口には出さず。
「そうなんですか。」
とだけ言った。
「そうだ、黒犬、残りの2匹の名前はなんてんだ?」
「確か…
「ゴラエス」と
「ランブレッタ」です」
「よっしゃ!決定だ。そっちのちょっとデカイのがゴラエスだ、んで普通サイズがランブレッタ。」
「そんな簡単に決めちゃっていいんですか!?」
「気に入りゃいいんだ。」
「…そんなもんなんですか。」
「あぁそんなもんだ。さぁ、銃も出来たことだし白髪達呼んで茶ぁでも飲むか!!」
「了解です。じゃあ2人とも呼んできます。」
「おー、頼んだ。」
玄慈は立ち上がって台所へ向かいながら手をヒラヒラと振って軽い口調で言った。