第20話 〜つまり赤血球が多いんです〜
「じゃあスピードはハルくんに合わせるから先に行ってね。坂道、キツかったら降りてもいいから。」
戻って来たアルがモモにヘルメットを渡しながら言った。バイクの後部座席に乗っているモモの腰のホルスターには右側と後ろ側にマグナムリボルバーが収められていた。
「わかりました。じゃあ…急がなきゃだし速めにいきます。」
ハルがロードレーサーを前傾姿勢で漕ぎはじめ徐々にギアを重くする。少し漕いだ後にスピードを出すためにダンシング。
時速65km
「モモさーん!!このロードレーサー!!かなりいいですねー!!」
風とバイクの音にまけないように大声で言う。
「ありがとー、ハルくん速いねー!」
「ちょってハルくん速すぎない?バテるよ!?」
「大丈夫でーす!」
予想外のハイペースに驚きながら少し後ろから着いてくるアルに返事を返し、またギアを重くする。アウター×トップ。時速80km
「速すぎるよ!?うん、絶対速すぎる!!もうすぐ坂あるけど大丈夫!?」
「大丈夫でーす。」
坂に入る。
徐々にギアを軽くしてダンシング。
時速50km
7時02分〜銃工房到着〜
「早く入りましょう。待ってるかもしれません。」
「…了解。ハルくん疲れてない?」
「大丈夫です。僕、特異体質でヘマトクリット値が普通の人より極端に高いんですよ。」
「「…それは結局つまりどゆこと?」」
バイクに跨ったまま2人が同時にきいた。
「結局つまり普通の人より疲れにくいってことです。」
少しおどけた感じで、ハルが答えた。
「え〜、いいなぁそれ。俺の特異体質なんか不便なのに…」
「私なんか特異体質ないよ?」
「モモ目いいじゃん、動体視力。」
「皆何かもってるものなんですよ。さぁ、早く入りましょう。もう約束の時間を5分過ぎてます。」
ハルが左手の時計を見ながら言った。
「おっと、そうだね。じゃ危ないから俺から入るわ」
ヘルメットを手に持ったままアルが扉に近づく。
「危ない?」
「下がって。」
モモがハルの服の襟を引いて退がらせた。