第16話 続・アルの部屋〜明日の予定〜
「そ、そうだ!!アルさん、明日予定ありますか?」
重くなった空気を変えるようにハルが聞いた。
「あ〜、うん、特に無し。ひと仕事終ったしね、ハル君どっか行きたいとこあんの?」
アルは苦い記憶を振り払うように頭を左右に振ってから聞き返した。
「ガンスミスのおじいさんの所に行こうかなぁって思ってるんです。ここに来る前に自分の部屋で電話で頼んどきました、ついてきてくれますか?」
「あ〜、じいちゃんの『銃工房』か。そだな、忘れてたけど俺も銃みて貰った方がいいかもなぁ。明日の何時?」
「朝の7時に行くって言いました。」
「…了解。ほんじゃ6時40分に公園の噴水前に集合ね、バイクで送ったげるから。…ハル君、じいちゃんトコ行くの初めて?」
「ありがとう。うん、仕事場に会いに行ったコトはあるけど整備頼みに行くのは初めて。」
「成程………朝ごはん、あんまり食べない方がいいかもよ」
「?どうしてですか?」
「ん〜?じいちゃんとおっちゃんが趣味で作った特殊な訓練機が工房の地下にあるんだけどね、体質にもよるけど初めは結構キツイんだ、酔うって言うかクラクラするって言うか…俺も初めての時はヤバかったしね…」
アルは昔の
「ヤバかった」時を懐かしむように目を細めた。
「…ここは変わった人や変わった物が多いですね……。」
「楽しいでしょ?」
自慢気に笑い、首を傾げながらアルが聞いた。その問いに
「はい、とても。」
ハルも笑いながら答えた。