第14話 ケーキ
「………頂きます。」
ハルは、寝惚けていたとはいえ、まだ若い女性を長老扱いして断わる事が出来ない空気の中、あからさまに不安そうな声で承諾した。
「食べさせたげる」
「…あの…できれば自分で食べ」
「食べさせたげる」
「………お願いします」
これ以上無いほど不安な表情をして、目の前に差し出された見た目は完璧なケーキを食べるため口をあけた。
パク…
「!!?(辛い!?いや…スッパイ?苦い…?すごい甘い??……辛スッパ苦甘い!?)」
「美味しいかしら?」
「あの…とて、も…前、衛的な味だと、思、いま…す」
「涙がめっちゃ出てるわよ、ねぇモモちゃん、泣いてるよ?どーする?」
「……」
ソッポを向いた少女はとても不機嫌な顔をしていた。
「あ〜、マシになったぁ〜……ってハル君なんで泣いてんの!?ッい!!?」
起きてすぐハルが泣いていることに気付いたアルは驚いて一口分欠けたケーキを見てさらに驚いた。
「そそそのケーキはままさかモモさんがその、つ、作ったその…アレですか?」
モモをさんづけにして、かなりどもりながらアルは聞いた。
「そう、食べる?」
そう聞かれたアルはいきなりガバッと布団を被って
「……すいませんお腹痛いのでマジで勘弁してください。」
と言ったきり動かなくなった。
「そんなに酷いかなぁ…」
少女がボソッと呟いた声に対して医務室の女性、渚はハッキリと言い放った。
「いや〜、かなり酷いと思うよ?まずスペックがお菓子より兵器向きだし、偽装はバッチリだし」