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第1話 狙撃手
ざぁぁぁぁぁぁ……
「残り12…」
激しい雨が降る日の半壊した3階建ての建物の中で赤い髪をした男が呟いた。
年齢は10代の前半に見える、
背も小さく男と言うよりは少年と言った方がしっくりくる。
近くには20代の青年もいる。
少年と青年は観測手もつけずに軍用の遠距離狙撃用ライフルのスコープを目につけてジッと眼下に広がる廃墟を見据えていた、
回りにはキラキラとひかる真鍮製の空薬莢が散らばっていた。
少年はその幼さの残る顔におよそにつかわしくない悲壮感に満ちた表情をしている。
テロリストとの比較的大規模な戦いが終了し2日、残党狩りにかりだされた人間は、自軍にこれ以上の被害が出ない用にと特殊部隊が選ばれた。
もし外した場合、弾丸の着弾点で軌道がバレる。着弾点は狙撃手の居場所を敵に教えてしまう。そのため狙撃に秀でた者が狙撃手をやらないと殺される可能性が非常に高いからと言うのがその理由だ。
それにくわえ冷静な判断が出来ない者が狙撃を行えば外した後に音を気にせずに撃ち、標的を消してもその仲間に殺られる事になる。