過去話2「お付き合い」
期間が開いたので二人の性格にブレが生じているかもしれませんが、リハビリは行ってますのでその辺な勘弁してください。ついでに更新ペースの事も勘弁してください。
一言惚れ告白の数ヶ月後。セミが屈伸あたりでもしてそうな夏休み目前の暑い日の事。
人気のない教室にて。結城と二人きり。
地道な努力が実りまして、ついに、ついに、
「私と付き合ってください」
「Yes!Glucose!!」
「うぜぇ」
歓喜のあまりにくだらない事を言ってしまった。
まぁ、なにはともあれ、俺と結城は付き合うことになった。
そして、その日の帰り路。カップル成立時のピンク色の空気があらかた流れ去った後。
俺はちょっとした疑問を抱いていた。
「う~ん」
「どうしたよ?」
「いや、なんか、平凡だったな~と」
「あ?」
俺と結城が付き合う前の日々の話。つまり、俺が結城の気を引こうと頑張ってた日々は、俺が何かを仕掛けて、結城にうぜぇと言われる。ほぼ毎日これの繰り返しだった。
つまり、何が言いたいかというと
「俺の初恋は結城なわけで」
「お、おう」
「んで、恋愛って漠然とこう……壮絶なものってイメージがあったんだよね」
「……ドラマチックか?」
「あぁ、そうそう。泣いて笑って喧嘩してとか、三角関係になったりとか」
「無かったな」
「自分と彼女が釣り合っていないことに悩みながらも愛が止まらなかったり」
「私もお前もそんな性格じゃないしな」
「突然の事故、いきなりの余命宣告、将来の夢から道を分かつ二人」
「悲劇寄りだな」
「とにかく、山あり谷あり崖あり孤島ありぐらいのイメージがあったんだよね」
「孤島に泳ぎ着くなよ」
結城が咳払いをして、乱れた話題を整える。
「あ~、んで?お前はドラマチックな恋愛がしたかったのか?」
「いや、そうでも……あぁ、赤と青の導線で悩んでみたいかも」
「爆発するのは一人でしてくれよ?」
「アクションラブロマンスはお嫌いで?」
「いや、導線切る前にお前が私に感涙ものメッセージを残してドカン」
「いずれにせよ俺は爆発するんだね」
「生き残ったらメッセージが罰ゲームものの黒歴史になるんだぜ?」
「いや、愛ならいつでも叫べるから、別に罰ゲームでもなんでも……なんなら」
「やめろ」
否定が早いよ結城さん。
「まぁ」
結城がまた話の空気を整える。
「現実なんて地味なもんだろ?だからフィクションが売れる」
「結局はお金なのか」
「そんな話じゃなかっただろ」
「ちなみに、俺らの話が本になったら売れるかな」
「お前それこそ」
結城はそこで一回言葉を切って心底嫌そうな顔をした。
「それこそ罰ゲームものの黒歴史だろ」
どっちかというと、フィクションが売れる理由はそっちだったり?
もう気づいてるかと思いますが、この小説は真面目に読んではいけない類のものです