充電しようか
ちょわっ!
5話です。
序章が終わった感じです。
昼食後、私はマギアのヒューマ能力の説明と、実際に起きた出来事を重ね合わせた仮説を、マギアに話してみた。
「なるほど……“触媒”に“外的要因”……それに“放出していない”か……面白い!よく思いついたな!カンナ!凄いぞ!」
「えへへ」
それほどでもない。
「特に俺は……触媒説を推したいな」
「私も……この中では一番可能性がありそう」
「ああ!外からのエネルギーを消費する……原理に適っているな!」
「でしょ。さっそく始めよう」
「ああ!」
結果から言おう。触媒説は失敗だった。
いくつかの対照実験を行ったが、どれも変化がなかった。私もマギアも「何か違う」という感覚しか残らない仮説だった。
ならば、次は外的要因説だ。
これはマギアの、
「俺が住んでいた場所から、すぐの町の“政治家”は凄い炎を操るそうだ」
という言葉から着想を得た。
その“政治家”は、火にゾワゾワを乗せて操っていると推測した。
政治家が火を操っていることについては、もうツッコまない。
ゾワゾワを出しながら火に手を当ててみたが、何も起きなかった。
あったのは、火の熱さだけだった。
話に出てきた火のほかに、水や土、風などにもゾワゾワを乗せようとしたが、手応えはなく、すべて失敗に終わった。
もう駄目だ……何も思いつかない……。
残っている仮説は“放出していない”。
だが、仮にそうだとしても、現状では検証のしようがない。
……そうだ。こういうときこそ、甘いものを食べて脳を休めよう。
悩んだときには、グミを食べるのが私の習慣だ。
私は徐に部屋の棚からグミを取り出した。
それをマギアに渡す。
「疲れたし……充電しようか」
「ん?ああ……ありがとう……これは?」
「グミ。私の好きな食べ物」
「そうか!それはさぞかし美味しいものだな!……手を洗ってくる!」
……行ってしまった。私も手を洗おう。
「あっ……そうだ、マギア。スマホの充電器、抜いといて」
「分かった!あの線だな!!」
もう、遠くから声が聞こえる。
戻ってみると、マギアは湿った手でコンセントを抜こうとしていた。
「カンナ!これを抜けばいいんだな!」
「あっ!ちょっ……まっ――」
危ない!
そう思って、咄嗟に手を出してしまった。
あっ……私も感電する……これ……。
ビリゾワ!?
ビリッという激しい痛みとともに、ゾワッとした感覚が襲いかかってきた。
なんだこれは!
感電しているが、思ったよりも痛くない。
少なくとも、この程度の電圧の感電は、私にとって致命的ではないと直感した。
いや……待て……。
冷静になりすぎだ。考えるよりも先に、マギアだ!
私は急いで、マギアのことを思いっきり蹴った。
「何だ今のは!? 感じたこともない痛みが、身体中を走り回った!」
ああ……マギアにもダメージは通るんだな。
人間離れしているから忘れていたが、彼も人間だ。
「大丈夫? 今のは電気で、感電って言うんだよ」
「大丈夫だ……そうか……今のが感電で、電気……まさに奴のようだ……それよりも、カンナは大丈夫だったか?」
「私は大丈夫……それよりも、マギア……私、分かったかも……」
私の言葉を聞いたマギアの顔は、とても嬉しそうだった。
それから、いくつかの電気に関する実験を始めた。
分かったことは、電気に少なからず耐性があること。
少なくとも、家庭用コンセント程度の電圧には耐えられる。
体内に取り込んだ電気は放出できなかった。
ゾワゾワと併用して取り込んだ電気を回すと、いつもより早く動ける気がした。
つまり、電気を体内に蓄電し、それを体内で消費するヒューマ――
私はこれを充電ヒューマと仮定した。
その仮説に、マギアも深く賛同していた。
「まさか……放出じゃない説が当たっているなんて……」
「ああ……意外だったな……俺の説明のせいで、遠回りをさせてしまった……」
「いいよ……面白かったし」
「そうか?それは良かった……」
また、一つ問題が解決した。
彼が来てから、私は楽しい。




