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Huma Gear  作者: 近藤海月
『炎帝編』

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17/25

格上

17話。

メラメラと燃えたぎる火傷するぐらいの情熱と

ーー胸熱ーー

……カンナ……。


「おい!マギア!登るぞ!」

「ん……ああ!行こう!」

俺たちはカンナを一人スラムに残し、セントラルタウンへと進んでいた。


そして、この壁を越えなければならない。

門にはノーヒューマを探知する機構が存在しているため使えない。

高さ12メートルの壁。見張りなどはいないが、登るための道具もない。


「それで……どうするんだ……」

「松ちゃんがいいものを持ってきたらしいぜ!」

「このナイフを使うんだ。これを投げて壁に刺す。それをいくつか繰り返して――」

「……足場を作るというわけだな!」

「その通りだ」

ナイフをうまく壁に刺していき、俺たちは壁の上へと辿り着いた。


「おっ!……上に見張りすらいねえな」

「登られることを想定してねえんじゃねえの?」 「急ごう!速攻で終わらせるぞ!!」

「「「おう」」」


その後、問題なく炎帝のもとへ辿り着いた。

消音銃の優位性により、潜入後も発覚せず炎帝の私室前に潜伏できた。


「それにしても……こいつは凄えな」

「ああ!引き金を引くだけで弾が出て、殺せる」 「音も出ないし、作戦に適しているな!」

「静かにしろ……ここだ……行ってこい……マギア……死ぬなよ」


松やジョセフは周囲の警戒を行う。炎帝との戦闘中に妨害が入らないようにするためだ。


カンナは一人でスラムに残り、俺たちを送り出してくれた。


その想いに応えるために。


「ああ……行ってくる……」


重厚な扉に手をかける。その豪華さとは裏腹に、扉自体は軽かった。


そこには標的の炎帝が、いつものように執務をこなしていた。

こちらに視線を向けたが、動きはない……殺れる!!


炎帝が動くよりも早く、速く、動き出したのはマギアだった。

座っている炎帝と走るマギア。

大剣をコンパクトに構え、一撃の奇襲で全てを終わらせる気概を感じさせる走りだった。


しかし、炎が迸ると同時に炎帝の身体が浮かび上がる。

炎帝は炎を噴射した勢いで飛び上がり、逆にマギアの首根っこを掴んだ。


「がっ……」


そして、壁へと投げつけた。


叩きつけられたマギアは壁を砕き、そのまま後方へと倒れていった。

追うように炎帝も私室から飛び降りる。

着地時には炎を逆噴射し、勢いを殺していた。


大きな物音に、ジョセフの心配の声が聞こえた。

「大丈夫か!?マギア!!」

「大丈夫だ!問題無い……!」


そう言ったが……奇襲があのように潰されるとは思っていなかった。

やはり……予想以上にヒューマの練度が高い。

すぐに体勢を整え、次の一撃を警戒する。

炎帝もこちらを見据えている。

双方は膠着状態に入った。

何故……手を出してこない……?

こちらを警戒しているのか……?

やはり……連発はできないのか……?


先に口を開いたのは炎帝だった。

「貴様は……侵入者だな……音もなく私に近づいたことは賞賛に値しよう……だが、貴様は手を出した……この時点で運命は決まっている……」

「運命?……そんなものは存在しない……俺が変えてみせる」

「そうか……では処理をしよう」


炎帝が手を構えるのに合わせ、マギアも大剣を構え直す。

相対した時点で優位なのは炎帝だ……。

速攻を仕掛けても、先ほどのように返されるだろう……。

ならば……今はヒューマの看破に尽力するのが吉だ……。


「来ないか。では、こちらからいこうか」

炎帝が手をかざす。


マギアを覆うほどの炎が放たれた。

まるで面を制圧するかのような炎。

マギアは大剣を盾にしながら横へと動き、炎を凌いだ。


「…………少しはできるようだな」


炎が止んだ……今が溜めか?

ならば――行くしかない!

マギアは前傾姿勢で炎帝へ最短距離で詰める。


「……皆、そのように動くな……」


炎帝の両手が前に出る。

マギアは身体を後方へ投げ出した。

その瞬間、炎帝の掌から鞭のように動く炎が放出された。

二条の灼熱の鞭が襲いかかる。

まるで二匹の蛇のようだ。


マギアは炎の下をくぐり抜け、振り下ろされる炎を切り裂いた。

切断された炎は霧散する。


「どうした……ヒューマは使わないのか……」


くっ……使わないんじゃない……使えないんだよ!……。

消えろ!!

マギアが最後の炎を切り裂いた。


しかし炎帝へ目を向けた瞬間、次の炎が目前に迫っていた。


回避!間に合わない!!


咄嗟に大剣を盾にする。

炎を受け止めた。


勢いが強い……押される!

……熱い……いつまで続く……!

耐えろ……耐えてくれ!!


10秒ほど経っただろうか。

大剣の刃は赤熱しかけている。

熱を逃がすために掘られた溝から蒸気が立ち上る。

手には軽い火傷。


「…………ほう……面白い武器だな。私の炎に耐えるとは」


危なかった……権蔵さんに鍛えてもらっていなければ……今ので焼き殺されていた……。


「少し……上げよう……」


まだ上がるのか!?

耐えられるのか!?これ以上の熱に――


フッ、と呼吸が漏れる音。

その直後、鋭く細い炎が放たれた。

その炎は大剣を正確に狙い撃つ。

細い。だが速い。

消耗したマギアは壁際へと押し込まれていく。

押されている……だがこれは耐えられる……!

いける!!


その希望を折るように、二段構えで鞭の炎が放たれた。

姑息にも意識の外から、上空から落ちる。

鞭のような炎がマギアのふくらはぎを焼いた。

焼かれた部位は熱で止血されている。


だが、それは動きを奪うには十分すぎた。


「…………終わりだな」

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