頂点のヒューマ
12話です。
街の設計をするときって楽しい。
その日は、マギアのアジトで夜を明かした。
床がゴツゴツとしていて、身体が痛くなる。
翌朝、私はマギアに話をした。
「何?炎帝の街に行きたい?」
「うん……行ってみたい……」
「急だな……一体、何故だ?」
「気になるの……ヒューマを管理した街がどんな顔をしてるか……」
私はもう一つの世界を知っている……だから、この世界のことも知りたいと思うのは自然なことだ。
「そうか……行ってもいいが……俺は街に入れないぞ」
「えっ、なんで?」
「街の四方の入り口には、ノーヒューマとヒューマを判別する装置がある……それでもいいなら近くまでは案内するが……」
「うん……いいよ、私は行きたい!」
「よし……分かった。なら行こうか。炎帝の街『セントラルタウン』に」
結構な距離をおぶってもらったが、マギアはケロッとしていた。
「よし……俺はここで待機している。門に引っかかることはないだろうが、もしものことがあれば助けに行くからな」
「分かった、ありがとう……行ってくるね」
舗装された道。活気に溢れ、周囲の人も増えてきている。
この先が発展しているという証明だ。
街は上空から見ると四角形で、四辺の中央に門が存在している。
判定装置はどれだろうか。もしかすると、壁に埋め込まれているのだろうか。
警備の人間はいなかった。
門をくぐり、中で一際目を引くのは、中央にそびえ立つ建築物だろう。
恐らく、あれが炎帝の建物。
地図によると、街は四角く区画整理され、中央を頂点に無駄なく線が走っている。
私は最初に市場を見た。
そこの人を知りたければ市場を見ろ、というのはよく言う。
そこは活気と物に溢れていた。
装飾、食品、衣服、水、それに飲食店。
気になったのは、マギアが持っているような武器類の店は存在しなかったことだ。
驚いたのは、ヒューマが生活インフラに紐づいていることである。
例えば、あそこを走っている電車のようなものは、電気系のヒューマが放出したエネルギーで走っている。
家の開閉もヒューマのゾワゾワで開けているのだろう。
ノーヒューマはこの街では生きていけないことを実感した。
気づけば、中央の建築物の方向へ歩いていた。
そう設計されているのだろう。
そこでは炎帝と思わしき人物が街頭演説を行っていた。
「お前たちは選ばれしヒューマだ。この街で生きていくのに相応しい存在である。誇れ」
その声を聞いた民衆から歓声が溢れた。
「私がこの街に就任してからはどうだ?」
「良くなった!」「住みやすい!」
野次が飛ぶ。
「私の統治が、この街の安定を証明している」
「街からノーヒューマを追い出し、力ある者が秩序を作る。それが世界にあるべき形だ。弱者は守られる存在ではない。ノーヒューマはそもそも人ではないのだから」
「いいぞ」「そうだ!」
「事実として、郊外に住み着いたノーヒューマ共は、人身売買や盗賊などの犯罪に走る者ばかりだ。私はその者たちを淘汰し、新たな世界を作るとここに改めて誓おう」
歓声が溢れた。凄まじいほどの熱狂だ。狂っている……とても気持ち悪い。
この街の違和感に気づいた。
笑顔が揃っている。
声が揃っている。
それなのに、目が笑っていない。
最初は活気に感じられたが、その笑顔は恐怖にも見えた。
その時だった。群衆の中で一人の男が暴れた。
「炎帝!てめえのせいで俺は全てを失ったんだぞ!てめえが俺を追い出したんだ!ヒューマが弱いからってな!」
周りの物が浮かぶ。恐らく風のヒューマだろう。
「てめえが馬鹿にした弱いヒューマに殺されろ!」
炎帝に向かって物が飛んでいく。
その中には刃物や木箱などが紛れていた。
当たれば怪我ではすまないスピードだった。
しかし、炎帝に当たる前にそれらは炭となった。
炎帝は一度だけ呼吸を整え、男を見下した。
「逃げろ!」「あれが来るぞ!」「どけ!」
周りの民衆が逃げ始める。
私はその波に飲まれた。
遠くからだったが、太い業炎が男を飲み込むのが見えた。
凄まじい大きさだった。
息を呑む一瞬で、炎が包み込んだ。
あれが炎帝……頂点のヒューマ。
あれは暴力ではなく、統治だった。
それが正しいとは言えないが、間違っているとも私の口には言えなかった。
武器類は禁制品として扱われています。
そのため、マギアなどが持っている大剣は見つかれば一発で死刑級の代物です。
ナイフが飛んでいましたが、それも禁制品です。
門にはヒューマ探知機が埋められてますが、金属探知機などはこの世界に存在しないため、男はナイフを持っていくことができました。




