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ただの聞いた思い出話

作者: 古本 夏目

 ただの又聞きしたものを纏めただけのお話


   


わざわざ話をまともに掘り下げる必要あります?

5年程前に聞いた話やから曖昧なところあるけどええの?場所は流石に迷惑になるから小説とかでよくあるH県て事にしといて



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名称《H県 某病院》

現状 問題なし

確認  ◎

対象  1名

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病院の造りとしては『ロ』の真ん中にエレベーターがあって周りが個室やったり多床室がある感じやな。エレベーター出てすぐ前がナースさん達の部屋になってる。


階段の場所?知らん。逆に自分が入院してない病院の階段わざわざ探す人いる?


エレベーター出たら左右に入院病棟が別れてるわけ。うちの身内がいたのはエレベーター出て右側。左側には大きい窓があったから一緒に外見る時に移動してたかな。共通してたのはそれぞれ左右で真ん中の空間が共通スペースになってる事。左側には大きい窓があって、右側にはお風呂があったな。


間取り聞いてなんか意味あんの?ええけど。


んで本命やけど、エレベーター降りて廊下をまっすぐ行った角部屋が普段からすごい違和感あったらしい。


え?いや、右側。


普段からその部屋だけ肌寒く感じてたらしいよ。最初は空調が調子悪いんかと思てたらしいけど、業者呼んでも変わらんかったって。その内患者さんも体調に違和感あるいうてたらしいけどそらそうやんな。ずっと寒いもん、年寄りにはきついて。

たしか夏の18時やったか19時やったと思うけど、共有スペースで患者と話とってんて。そしたら髪の毛から足裏まで一瞬で冬の水に飛び込んだみたいに冷たくなったて。濡れてへんよ。冷たく感じただけ。んでなんでかすぐにその角部屋に目線向けたら、出てきてんと。閉まった状態の扉から女が貫通してきたらしい。


どんな風に?そこまでは知らんよ。本人に聞きよ。


とにかく髪の毛も肌も着てる服も、なんなら目も真っ白な女が空中に浮きながら出てきたんやと。なんでか髪の毛は重力無視してたなびかして、足が見えへんくらい長いワンピースみたいなん着てたて。そんで空中に浮いてた。まぁ、もしかしたら足無かったんかもな。んで、その女は何に目線向ける事なく移動していった。左側に。

その人普段からお迎えが時折見えてたんやて。いつもは黒い影やったりが部屋の前で佇んでるのを見かけるだけやったらしいけど。だいたいそれ見たら2、3日で亡くなりはるらしいわ。他のナースさんらもそれ知ってて話聞いたら緊急時の準備しててんと。




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この時見たものはその比じゃなかった。一瞬で感じた。怖い、恐い、畏怖い、なんて感情じゃない





「地獄からのお迎えだ」





その言葉が頭の中にはっきりとあった。追いかけるなんて無理。あれに認識されてはいけない。それが左側へいなくなった後先輩に

「今晩向こうの人誰か死ぬと思います」

と伝えた。夜勤だった先輩は笑って「やめてよぉ」と言ったがなんとなく察してくれてた。1時間しない内に左側が騒がしくなった。




一人亡くなった。




お読みいただきありがとうございます!!多少なりと時間のお供になれたのなら幸いです

短編ですが初めて完成した作品がホラー物になるとは思いませんでした。

書き終わった後に何でかドキドキしました。

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