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49 解きほぐす11

「そう。……またフィールドワークに行くのだろう? その時に何かある可能性が高い」

「うっ……」

「出会いが出会いだっただけに、反論できないっすね……」


 嶋田の言う通りだ。


「私も同行するが、咄嗟の時に私が優先するのは瀧。だが、彼らふたりがいれば君たちに万が一もない」

「黎さんがいてくれるだけで牽制にはなると思いますけど……」

「けど、それで怪異と遭遇しないのはオカ研として問題じゃないっすか?」

「……意外と鋭いところを突いてくるな、嶋田」

「西山センパイ、真岡センパイに褒められました」

「良かったな~シマ」


 茶番をよそに話は進む。


「だから基本的に、私はヒトに擬態する術を使って同行する。怪異や鬼怪妖魔に私の本性は見抜けない」


 安心して怪異を楽しんで、と言われて、心の底から素直に喜んでいいのだろうか。

 けれど考え方を変えれば、サファリパークのようなものかとも思う。安全な車内から時に危険な自然を観察するような。


「それに、私や彼らが助けるのは、君たちが全力を出してから。それまでは彼らは君たちの観察をするだろう」

「…………あの方たちがおれたちの様子を見て楽しむっていうなら、ある意味ギブアンドテイク……?」

「そんなギブアンドテイクってあります……?」

「今ここにあるんだから、あるんだろ」

「黎さん、ご配慮痛み入ります……」

「ありがとうございます!」

「めちゃくちゃ助かります」

「うん。君たちは怪異に好かれやすいタイプのようだから、気を付けて」

「うおお……喜べねえ……オカ研としては喜べるけど」


 西山は頭を抱える。その横で苦笑した真岡が「じゃあ」と話題を持ち出した。


「このまま、次のフィールドワークのことでも打ち合わせるか」

「賛成~!」


 全員が賛同するが、続いての議題が大問題だった。


「まず車の調達からなんだが」

「……そういえばぶっ壊れましたね」

「壊れたっていうか……燃えたっていうか……」

「それは先ほどの彼らに出させよう」


 当然のように梓玥が言うと、西山が目を見開く。


「い、いきなり……?」

「彼らにしてみれば微々たる金額だ。五人で車に乗るのだし、少々大きめのものでもいいだろう」

「そうかもしれませんが……せめて中古車にさせてください……」


 また壊れるか壊されるかもしれないので、と真岡が苦笑すれば、全員が「あり得る」と苦笑する。

 けれど梓玥は思いがけない提案をくれた。


「今度の車には、滅多に壊れないように呪符を貼っておく」

「そんな便利な術が……!」

「梓玥さん、そんな安請け合いして大丈夫?」

「大丈夫。瀧の身の安全も含まれる」

「タキ、一生オカ研にいて」

「どんだけダブらせる気ですか。最大でも九年でしょたしか」

「タキちゃんセンパイ、せめておれが卒業するまでいてほしいです……」

「卒業の餞に何か残すくらいで勘弁してほしい」


 あはは、と笑う。賑やかな声は食堂に響いても、誰も気にすることはなかった。


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