白杪
白く霧がかった日、夏の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
僕は教室の隅に、気がついたら夕焼けに包まれていた。
懐かしい風景を片手に町を見下ろす。
これを何というのだろうか、解らなかった。
あくる日、秋が訪れた。
夜風は冷たく頬を濡らした。
今朝、不思議なものを見た。
桜。
秋に桜、十月桜だろうか。
それにしては早い。
僕は月を眺め、惚けていた。
一凛の花びらが風を伝い、銀河の川へと着。
水面に、水銀彩る鮮やかな模様が浮かんだ。
目を淡く風に吹かれた。
言葉で表すならば、滴る桜と雫に夜空。