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小説家甦える

またまた、宜しくお願いします。


 山本 憲治はすーっと消えていった。


 涙目になりながら、やがて気づく事があった。


 憲治に会えたと言うことは、他の人にも逢えるかも知れないと。


 それで旅をしていけば旅行記になると。

 誰にも読まれないが私の生き甲斐になる、いやもう死んでるのか!

 そんな事はどうでも良くなってきた。

 コレも作家の(さが)で、血が騒いでいる。


 考えろ、考えろと頭の中をフル回転させた。

 思い浮かばないので、もう一度宙に登ってみる。


 やはり、地球は青い!


 何も思い付かないので部屋に戻ることにした。

 壁を通り抜け仕事場に入ると、私が椅子に座ったままである。

 そう、私の名前は加納 慎吾

 昨日、死んだ……たぶん…

 そして、幽体離脱中である。

「これからどうしよう、椅子に座っている私の身体はいったいどうなる?」

 途方にくれる。


 その時、玄関のドアがガチャガチャと音と共に開いた。

「管理人さん!」

「もう1人いる、出版社の担当の田中さん?」


 やばい、発見されてしまった。

 管理人さんには申し訳ないが、この部屋事故物件になるぞ。

 担当の田中が私の身体に近づき肩を叩きながら「加納先生、加納先生大丈夫ですか?」と何度か同じ動作を繰り返している。

「先生、先生……?」

「まさか、亡くなっているとか!」管理人が田中に向かって言った。


 その光景を見ながら、申し訳ないと思った瞬間私の身体が重さを感じずっしりと重力を感じそして、目を覚ました。

 目の前にはいつも座っている机があり身体がビクッと跳ねた。



「うわーっ!」と、担当の田中と管理人が叫んだ。

「先生、どうしたんですか」


「昨日からメールや電話してもまったく出ないし、

 こちらに来てインターホン押しても反応無いので管理人さんに頼んで開けてもらいました」

「今日って何日?」

「今日は8月10日です、ビックリさせないで下さい!」

 2日も経っていたのか!

「いや〜すまない、どうしたものか」

「でも良かったですよ、何事も無くて」

 管理人はもっとホッとした表情である。

 事故物件になると評判を落とし兼ねないからである。

 そして、何事も無くて良かったと言いながら戻っていった。

「私は死んで無かったのか?」

 山本憲治が戻してくれたのかも知れない。

 あの時憲治が私の中に入って戻してくれたんだ。


 担当の田中がもう一度聞いてきた。

「いったい、どうされたのですか?」


 私は先ほどまでの出来事をどう説明しよう、いや言わない方がいいのかも……いろいろと頭の中に巡った。


 後日……

「実は、2日前にどう言う訳か死んで幽体離脱してたみたいです。田中さんが来るまで宙に浮いてました!」

「???……?……?」

やはり、言わなければ良かった。

「先生、かなり疲れてますね……少しやすみ……いや、もし幽体離脱してたのならそれを小説にしてみましょう……」

 田中はひらめいたとばかりに「良いじゃあないですか、幽体離脱っていろいろいけますよね、それを日記風に書き留めて置いて下さい」

「……幽体離脱で(たび)日記!」

 おいおい、勝手に……


 それを言い終わると田中は玄関に向かい、靴を履きながら「先生、明日東京に来て下さい打ち合わせしましょう」

 田中は言い終わると急いで帰って行ってしまった。

 ドアはバタンと閉じられた。

「お腹すいた!」

 私はホッとしたのか空腹で有るのに気がついた。


「そういえば、幽体離脱している時には感じなかったな〜!」

 あれは夢だったのか、現実だったのだろうか?


 ちょうどカップ麺があった、お湯を注ぎ込み数分待った。

「美味い!」

 なんだろう、幽体離脱後は食べ物がより美味しく感じる。

 身体が欲しているからか。

 そして、トイレに向かおうとした時また、宙に浮いているのだ。

 トイレの前に横たわっている私の身体がそこにはあった。


「もしかして、自由に出入り出来るのか?」

「コツを掴めば……!」

 今までそんな話聞いたことが無い。


 そして、恐る恐るだかもう一度身体に近づいてみるとすーっと身体に入って行った。

「戻った…戻っている」

 すーっと出てみる

「出られる!」

 何度かやっているとコツが分かってきた。


「凄い力を……手に入れてしまった」

 


 そんな私は小説家 加納慎吾である。


ありがとございます。

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