教えたがりおじさん
次の日、少し慌ただしくキャンプの準備を済ませて自分はキャンプ場へと向かっていた。
流石に突発的に行動しすぎただろうかという自分を戒める気持ちと、キャンプへの高揚感が自分の中でせめぎ合っていた。
しばらくすると折角の休みにキャンプなのだから楽しまなければと高揚感で頭の中を満たそうとするが、「でもなぁ」といった感じでまた自分を戒める気持ちが湧き出てくる。
そんな事を繰り返しつつ、電車とバスを乗り継いで目的地のキャンプ場へと向かっていく。
都心から離れていくごとに景色のコンクリートが減っていき、代わりに緑が増えていった。
キャンプ場に着く頃には調べた通りこの辺りは涼しいらしく、風が心地よく感じる。
「さてと、テントを張る前に係員に受付でも済ませなくちゃな」
受付はスムーズに終えることができ、キャンプ場を散策する。
しばらく歩いてここだと思ったところでテントを設営し始める。
数年以上のブランクがあったが使い慣れた道具だったおかげかさほど手間取らずに設営が完了した。
テントを設営した後に周りを見渡すと自分の他に二組ほどキャンプに訪れている様だった。
自分は久しぶりの遠出であったことから気分が高揚しており、他のキャンプに訪れている人物たちに母を懸けることにした。
「こんにちは、皆さんはお友達同士でキャンプに来ているんですか?」
自分が話しかけた人物は3男性の人組だった。
彼らは顔を見合わせながら二言三言こちらに聞こえない様に話すと一人が返事をする。
「……えぇ、貴方はお一人で?」
「はい、そうなんですよ! こう見えてキャンプは若い頃かなりやっていたんで分からないことがあれば何でも聞いてください」
「……そうですか」
この辺りで自分の行動をようやく客観的に見ることができた。
今自分がやっていることはネット上で見る教えたがりおじさんというやつなのでは?と。
特に頼んでもいないのにアレコレと口出ししてくる迷惑な客という内容のネット記事を以前見たが、自分の行動がそれにピタリとはまっている様に思えた。
慌てて取り繕いながらその場を離れようとするが男性に呼び止められて足を止める。
「あの、あんまり長居せずに帰った方がいいですよ?」
「え?」
突然の帰った方がいいという発言に面をくらってしまっていると男は慌てて話し始める。
「あ、いや、その……一人でっていうのは物騒ですから……」
「あ! あーー……そうだね、気をつけます」
辺りに軽く気まずい雰囲気が流れ、その場から逃げる様に自分のテントに星野一人は戻って行った。