制作場所
「再生機だよ。絵を描くときにつかってたCDの小型再生機、いまの彼女が貸していたんだってさ。だから、それがここに残ってるなら、ケイトの形見にもなるし、返してほしいって言われたんだけど、再生機なんてどこにもなかったし、警察で押収してるのにあったっけ?」
端末に出た資料を、ウィルとザックは目で追い、顔をみあわせた。
「―― ないね」
「うん。でも、『奨学金』を返済できるほどの絵を描いてたはずだ。―― 家にはほとんど帰ってない。学校だけで、そんなに制作できるとおもう?」
「じゃあ・・・」
「どこかに、《制作場所》を、持ってたのかも」
――― 学校とも家とも違う、別の場所で
「・・・それって、森で出会った、《誰か》に《招待》されて・・・?」
気味悪そうなザックの声で、ウィルが階段にむかう。
「母親にきいても無駄だろうから、さっきの友達にきいてくるよ。失踪の二年前ぐらいから何か好みが変わってないかとか、新しい宗教に入ってないか、とか」
電話を終えた二コルがザックにうなずきかける。
「ならおれたちは、彼女の絵がどうなったのか確認しにいこう」
――― ゆっくりと、聖なる歌をききながら、おもうままに筆を




