全部売れた
「やっぱり。―― このハガキは、バーノルドの森だ」
「つまり、ふだんからバーノルドにスケッチに行ってたんだね。日付は殺される二年ぐらい前からだ。・・・ひょっとしてケイトは、そこで犯人に会って連れ去られた?」
二コルもうなずく。
「もしくは、こうやってスケッチに通ってるうちに目をつけられたか、だ。なあ、・・・今気が付いたんだけど、さっき、ケイトは絵を売って奨学金を返したって言ってたよなあ?・・・屋根裏の油絵には、彼女が学校に通ってる時期の日付のものはなかった。・・・学校にはいってからの絵は、いったいどこにあるんだ?」
「まさか、全部売れたとか?」
冗談のつもりのザックの言葉に、ニコルが、「どこのだれに?」とウィルを見返す。
目を通した資料には、そんな情報はなかった。
その場でウィルが、最近話を聞いたと言う、ケイトの友人に電話をかける。
「 ―― 学校が学生の代わりに売る?ああ、なるほどね。ありがとう。聞きたかったのはそれで、・・そう、彼女の家で調べてるんだ。――― なに?・・・え?きみの?・・・・うん、わかった、ちょっと、確認してみるよ。いや、たいして手間じゃないんで大丈夫だよ」
携帯電話を切ったウィルのよこで、すでに二コルがケイトの通っていた学校に電話をして、彼女の絵を誰に売ったのか確認している。
ウィルが前髪をはらいつぶやいた。
「やっぱりおかしいなあ・・・」
「何が?」




