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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
※※

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※ きもだめし (ジェニファー)



――――― ※※※ ―――――





 肝試しをしようと言い出したのは、リッジか、トレイシーだったはずだ。


 車の中で二組がセックスするのは狭いし、クスリでトブのは、車じゃ危ない。



「ほら、この辺で今回の死体が見つかったんだぜ」

 リッジは楽しそうに端末に出た地図をさす。


 陽が傾きだした森の中は少し冷えてきたようだが、まだ光に照らされている。


 ゴシップネタであふれるメッセージリンクにそのへんの情報はあふれているが、片端から消去されていく。

 今出した地図も、もう、消えた。


「うわあ。消えちまった!」


「そんなのいいよ。それより、この森、なんで冬なのにこんなにうっそうとしてんの?まだ昼間だっていうのにこんな暗いし、同じような木ばっかで、方向がわかんなくなりそう」

 トレイシーがそばの木をけとばした。


 濃い緑の葉をしげらせるそれがちいさくゆれる。ジェニファーの肩を抱いて歩くピートが、まかせておけ、とポケットから折りたたみナイフを出した。


「これで木に印つけてるから心配ねえって」


 さっすが!とむこうの二人がほめ、ジェニファーも同意する声だけあげて、実際うんざりしていた。


 今日はいているブーツはかかとが高くてこんな森を歩くのにはむかないし、下着ほどの面積しかない服の上にはおるこの革のジャケットだけでは、この森は寒すぎる。



 元々、観光客や自然を楽しむ人間が足を運ぶ場所なのだ。

 たしかに、例の連続首なし殺人の死体があった場所だけど、自然保護区域のここには人の手の入らない自然と、飼いならされていない動物がいる。


 昼間は保安官がみまわり、パトロール用の犬もいる。

 木々や動物を故意に傷つけようとしたりすれば、その犬をけしかけられるし、つかまれば、5、6年の実刑を言い渡されるときいた。



「ねえ、戻ろうよ。こんな森の中じゃ寒くて肝試しどころじゃないわ」

「ジェニイ、だから車の毛布をもってこいって言ったんだよ」


 だってあんな汚い毛布、と言おうとしてやめた。

 きっとまた、リッジに『おじょうさま』うんぬんとからかわれる。



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