表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
女王のダンス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/272

特注品


「たしかに、ナタリはどこか信仰を憎んでるみたいなとこもあったって、証言もあったな。その反動で勉強しようと思ったんだろうって。―― なあザック、ナタリにも『招待状』がきてたか調べてくれただろ?」


 ジャンの言葉にザックは首をふった。


「ナタリだけじゃなくて結局他の被害者みんなも調べたけど、招待状とか、なにかの新しい宗教の話しとかもまるでなかったよ。信仰するのは、宗派はちがうけど、みんな『聖堂教』だし。もちろん、エミリーみたいに、『妖精の国』とのつながりも」


   「えっ!?妖精の国!?」

 

 ザックの言葉の途中にレイが興奮したように身を乗り出した。

 


 片手をあげたジャンが落ち着くようと、レイの肩をおしもどす。


「正しくは『妖精の王国』っていう、どこかの新興宗教団体だと思う。どうやらエミリーにはそこから招待状がきてたようなんだ。だけど、けっきょく何もわからなくておれたちはゆきづまってる。」


「え?宗教なの?」


「ああたぶん。断言できないのは、『妖精の国』っていう宗教の情報が警察にないんだ。―― エミリーの手元にあったのは、表面に『選ばれたあなたへ』、裏に『妖精の王国』って印刷された封筒だった。特徴のある造りだったから、すぐに印刷会社は見つかったんだけど、依頼主には、残念ながらたどりつけなかった」


「中の文面は?」


 レイの質問に、ジャンがファイルから数枚の写真を引き抜いた。


「注文主は、電話で《おとぎばなし好きな彼女に夢のあるカードを届けたい》って伝えた若い男だ。前金が郵便で届けられた時点で、印刷会社ははりきって仕事をした。気前のいい依頼者とのやりとりはすべて、電話。こまかくて質の高い注文だったんで、それなりの社会的地位のある人物だろうという想像のもと会社も気合入れて作った特注品で、紙の仕様からインクの色味までよく覚えていたが、電話の相手のことは若くてなまりのない話し方としか記憶がない。―― 残りの払いも郵便荷物としてだ。ほんらい本来郵便で送ってはいけない額の現金だったが、郵便ポストに入る大きさと重さだったし、危険物検査にひっかからなかったから、何の問題もなしってわけだ。 ―― それで、招待状の中身はこの写真にあるとおり、送り主『 《アレックス》から、愛するきみへ ここにあるPCメッセージのページを、このまえ伝えた日にちのあの時間に見てほしい 』ってことと、ウィルが口にしそうな、キザな《詩》だけだ」

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ