※ 種類がちがう
『ジェニファー、お願い。あんな子たちが友達だなんて、いわないで』
初めて家にその友達を呼んだ日の夜。
母親が泣きながら頼んできた。
話を聞いた父親までが、お前とは《種類》が違うんだ、やめておきなさい、と悲しげな声をだした。
まるで、『おまえのために言ってるんだ』というような顔で。
人は見かけじゃないでしょう?みんな平等よ?それが、『 種類が違う 』?
はなしがちがうじゃない。
その日から、ふわふわの甘いジェニファーは消えた。
「ジェニファー!どこ行くの?」
「月の裏か鏡の国」
「待ちなさい!毎日毎日夜中に帰ってくるなんて!」
「毎日毎日起きて待ってるなんてごくろうさま」
「ジェニファー!」
呼び止める母親を無視し、暗くなり始めた外にでた。
家のそばには友達が車をつけて待っている。
乗り込んだとたん、いつものようにぐちがあふれだす。
「まったく!ちゃんと高校を卒業できれば文句ないんでしょう?科目は落としてないし、成績だって文句つけられるほどじゃないわ。あんたが文句つけたいのは、この格好と友達についてでしょ?いいかげんにしろっていうの。この、偽善者!」
先にのりこんでいた友達たちが笑い出す。
「毎度ながらジェニ、その文句はあんたのママにいいなよ」
一人がくわえたタバコを指揮棒のように振った。
「知ってるでしょ?言ったら自殺されそうになったって」
「ママはそんなジェニファーみたくないわ!!」
もう一人が声色をまね、みんなで笑う。
運転席の友達が「愛されてんのよ」と皮肉をこめたように振り返り、ちょっとうらやましい、と声をさげた。
「あたしなんて、何日かぶりに会えば、『あら、いたの』なんて、猫並みの扱いだよ」
「ばーか。ジェニはおれらと違って『お嬢様』だぜ?こんな高級住宅街に、この車のなんて不似合いなこと!ほら、さっさとだせよ!また警察に通報されちまう!」
馬鹿笑いしながらジェニファーは、ちょっとどこかがちくりとした。
『種類が違う』と思っているのは、友達も、おなじなのかもしれない。
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