※ お菓子みたいな女の子 (ジェニファー)
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ジェニファー・ハワードは、ふわふわの甘いお菓子みたいな女の子だった。
それがどうしたわけか、今では両方の耳に、合わせて十個ちかくの穴をあけ、ヘソにも金属を光らせている。
自分では、唇と舌にもピアスをしていないのだから、《ぜんぜん》だと思っているし、はまりきっていないのはわかっている。
仲間に言わせると、半端。
――― それで、いいじゃない。
メイクは黒をきわだたせた原色使いのもので、きれいだとほめられていた金色の髪は真っ黒に染め、前髪だけをどぎついピンク色にして、ぐしゃぐしゃに乱してスプレーで固めてあるため、黒い綿毛みたいだった。
でもべつに、それが気に入っているわけじゃない。
服だって、友達の友達がデザインしたという、黒を基調にした独特なデザインばかりのものを何着も買い込んだが、―― いまだに、好きにはなれない。
ただ、そういう格好をして、暗くせまい特定の場所に集まる仲間たちが好きだった。
今まで会ったことがないほど、怠惰で、刺激的で、おかしなところに情熱的で。
小さなころから、『人を見かけで判断してはいけない』『人間はみな平等に生まれている』なんて教えられ、浮浪児のためのボランティア活動をしている両親のおかげで、ジェニファーはずっと、友達を、中身でみていた。
そして、(自分で思うに)運命的に彼らに出会ったのだ。
衝撃的な出会いといってよかった。
好みも生き方もまるで違う彼らがとても新鮮で、憧れでもあった。
それが、――― 。




