治安部に確認
「彼女についての話しをきける範囲がひろがりそうだ。今、本部から警察の『治安部』に問い合わせてもらってるからさ」ルイが言う。
警察の《治安部署》には、この国の主だった宗教に関する資料がある。
だが、しばらくして得られた答えは、『治安部に登録された新興宗教団体の名簿にはエミリー・フィンチに各当するものはなし』。
「じゃあ・・・、治安部も確認してないような小さい団体かもしれないな」
ニコルが嫌そうに首をまわし、でも、これだけ特徴のある紙と凝った字体の印刷だからすぐに印刷所が見つかるだろう、と封筒を証拠品用の袋にしまう。
それをながめるザックが誰にともなくつぶやいた。
「やっぱさ、『招待』されるって、時別な感じするもんな。それだけで『選ばれた』っていうか・・・。いや、ウィルはその、バーノルドの森に好きで『招待』されたわけじゃないし、子どもだったし・・・、」
「お気遣いどうも。―― そのとおり、『特別感』に舞い上がってたよ」
ソファに座りなおした男はだるそうに手をあげた。
「よしザック、おれたちは会社に戻ってナタリ・キットソンも何かに『招待』されてなかったか資料を調べなおさないと」
ルイがドアへとむかう。
「え?ナタリ?」
首をかしげた新人に二コルが丸い目をむける。
「自分でいま言っただろう?ウィルたち、つまり最初の犠牲者の発見者たちは『招待』されてバーノルドの森に行っていた。 エミリーももしかして、『妖精の国』っていう何かの宗教団体に『招待』をうけたのかもしれない。―― そうすると、ナタリが『ついに』ってまちわびていたのも、ひょっとするとそんなものからの『招待』かもしれないだろう?」




