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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
掘り当て 開始

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『ほりあて』た


「恋人なのにセックスなし。おまえ、そういうのどう?」

 空になった棚を壁から動かすケンが、ライトを片手に聞いてきた。


「 え? う、うーん・・・。 まあ、ちょっと、困惑するかな」そもそも、それって恋人になるのかな、とザックは考えた。


「だよな。めんどくせえ女」

 まるでじぶんがその相手をするように顔をしかめた男は、ライトをザックに放り投げると身をかがめ、棚の裏に腕をつっこみなにかを拾いあげた。


「―― ピンだな」

 白い頭のついたメモなどをとめる針だった。

 

 ケンはザックを手招きし、ライトを壁にあてるように命じると一か所をさす。


「みてみろよ。壁に穴だ。そんで、このピンっていうことは?」


「ピンがこの壁から抜けて落っこちた。・・・棚の裏に、なにかピンでとめて?」


 ザックが絨毯に顔をつけて棚の下をのぞきこむが、何も落ちていない。


「警官が拾ったんじゃねえの?」


 警察官が、遺体の身元がわかってすぐにこの部屋を調べているのだ。

 眼には見えない大きさの、科学的な物証や痕跡を細かく拾い、手紙や書類から、隠された情報や人間関係もあらいだしているはずだ。


 警備官のおこなう『掘り当て』の作業は、そんな警察官の作業からも《とりこぼれた》ものをさがすためにある。


「こっからの押収品で、《ピンで壁にとめてあった》ものなんてあったか?おれの記憶じゃそんなもんなかった。―― っつうことは」

 ケンが棚を回すように動かし、ザックにその棚裏がみえるようにした。


「あ」

 棚の背に渡された一番下の横木に一角を差し込むように、埃にまみれた紙切れがあった。


 思わず拾えばケンが大声でみんなにしらせた。


「おい、ザックがなんか『掘り当て』たぜ」


 あわててみたケンは棚をもどして立ち上がり、本をもどしておけよ、とザックに命じた。





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