こんど遊ぶ
きれい?と疑問を呈した新人に、どこかわらいをふくんだ眼がむく。
「・・・おれさあ、南のトレーラーハウス出身だから」
「・・・ああ・・」それいじょう、なんといえばいいのかわからない。
『南』は、この町の都市部に通じる国道がまっすぐ通じるところで、たどった先の南隣の州には、ここをめざした労働者たちがトレーラーを停めて住みはじめ、そのまま街にしてしまった場所がある。
治安もよくないそこは、自然と評判の悪い街になった。
「錆びて、動けないような車が家なんだぜ?・・・そりゃ、悪くもなるさ・・」
前をみたまま、遠くをみるような眼をしていたが、何も返せない新人に気付き、いつもの人懐こい笑顔を浮かべ、「だけど、こうして『いいこ』になった。おまえも、『いいこ』になる前ってのに、少しは心当たりあるだろ?」と陽気な声をだす。
「まあ、・・それなりに、・・・子どもらしく遊んだんで」
「そりゃいい。こんどの休暇は一緒に遊んでみるか?」
「いいっすね。・・・あの、この服、どうも。でも、遊びに行くなら、自分で選んだの着たいんだけど」
はいているジーンズを叩いてみれば、そうだな、とジャンも笑う。
「おれも、バートにおなじこと言った記憶がある」
スピードが落ち、ゆっくりと角をまがった。




