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おれってツイてる


「出動要請から、すっごく機嫌悪かったもんねえ・・・・」

「あのチンピラがごねたせいで、そうとう時間過ぎてるからな」

 背の高い金髪のウィルと大柄で浅黒い肌のニコルが笑い合いながら片付けたものを車へ運ぶ。


 窓ガラスまで真っ黒なバンの後部ドアをあけて道具を中へと放り込み、自分たちも続けてそこへおさまった。

 中には向かい合うように長椅子がとりつけられており、男たちが五人、見合って座る。


「時間って?もしかして、デートの約束とか?」


 冗談前提だというようなザックの言葉に、「それ以外でバートがあんなに急ぐ理由なんか、この世にあるかい?」とルイのんびりとした声がかえる。


「・・・・まじ?」

 自分で口にした冗談が真実だといわれ、新人はおかしな笑い顔でとまどった。


 だって、警備会社ガーバディ内、警察要請部・強硬隊A班の班長であるロバート・ソロ。


 あの、おっかねえ男が、あそこまで慌ててとんで帰る理由が恋人に会う時間が一秒でも、おしいからだと言われても、にわかに信じられない。

 

 新入りとしてすでに半年ほどの時間が経っているのにその『恋人』の存在すらしらなかったザックは、うらめしそうに周りの男たちをみまわした。


「あれ?もしかしてザックって、バートの恋人知らない?」きれいに足を組んだウィルが、金色のうっとうしい前髪を指で払う。


「知らない!だって誰も教えてくれなかったじゃん!初耳だよ、はつみみ。なんだよ、みんな知ってんのに、なんで教えてくれねえんだよ。 ―― そうだよなあ。いないほうが不自然だもんなあ。でも、・・・想像つかねえなあ。どんな女でも『よりどりみどり』って感じ?前に一緒に街中まわったときなんて、それこそいろんな女に声かけられてたし」


「あー、それ、バートに言わない方がいいよ。それらってほとんど春を売るプロたちだろ?昔はそっち方面に顔がひろかったらしいから、からかわれてるんだよ。 今はまるで相手にしてないし、それどころかどんな女に声かけられてもほとんど無視。いっしょにいるこっちが、冷や汗かくときもあるよ」

 困ったような顔でウィルがとある有名な女優にバートが取った失礼な態度を説明し、車の中、男たちの愉快な会話がはずむ。





 この班に入り、まだ一年もたっていないのに、ザックはすでにこのメンバーと、何年もいっしょにすごしてきたような感覚を覚える。

 それは入った当初にすぐに感じた『心地が良い』というものだ。



 あらためて思う。



 ――― おれってついてる




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