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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
〈幕開け〉 バーノルドの森事件

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信心はない


「その『ゴシップ』で、宗派関係なく寄付をするって聞いたことがあるけど、信心深い無宗教ってこと?」

 ルイらしい皮肉にウィルは肩をすくめた。


「うちの父親いわく、彼には、『どこの神様も敬うような気持ちはなく』て、あれはただ単に、いろんな『神様』をコレクションしたいだけだって。 ―― 『信心』なんて、かけらもない男だって、さんざん言ってたよ」


「おやじさん、友達なのかい?」

 ジャンの質問に苦笑がかえる。


「いや。心底嫌ってるって感じかな。旅からもどったノース卿から、学者を紹介してくれって頼まれたらしい。 昔から知り合いではあるけど、ちゃんと話したのはそのときが初めてだってさ」


「ああ、おやじさん、どっかの学校の理事長やってるんだっけ?」


「名前を貸してるだけだよ。・・・で、――― 紹介した学者が死んじゃった」



 みなが不意をつかれたように顔をあげる。



 反応を知っていたようにウィルが困った顔で両手を広げた。

「事故死だよ。大通りのタクシーの前に何かさけびながらとびだした。 みんなが見てたんだ」


「自殺ってことか?」


 ウィルは肩をすくめた。


「うちのおやじは、ノース卿に紹介したせいで、彼はノイローゼになったって言ってたけどね。―― あの城にずっといたからだって」


「軟禁ってこと?」

 ルイが顔をしかめる。


「いや。出入りは自由だったみたいだけど、その学者が自分で出なくなっちゃった」


 なんだそりゃ、とケンがつまらなさそうに組んだ足をテーブルにのせるのを、払い落としながらジャンが言う。


「きっと、貧乏な学者に金と施設を与えて、なにかよほど夢中になれる材料を与えたってことだろうな。―― ところで、何の学者?」


「考古学、だったかな?」


 やりとりを、考え込むように聞いていたバートに、ジャンが「何かひっかかるか?」と顔をむける。



 班員の視線を集めた班長チーフが、無表情な顔をジャンにむけて言った。


「そうだな。年末までに、テクニックと色気がそろうといいな」


「よけいなお世話だ。あ、今決めた。おれ、あんたんちに、年末から年始まで泊り込むからな」

 

 


 

 

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