おなじこと
ソファからあきれたように眺めるケンが、「おまえ、本当にローランドの資料全部見たのか?」と聞く。
「もちろん!あのな、うちの署がこれのせいでどれだけひどい騒ぎになったか知ってるだろう?弁護士が押し寄せて、通常の機能が混乱して停止状態になった。おれは酔っぱらったおっさんのイビキを足元にききながら、全部読んだ」
「なら、ローランドのパーティーの様式が、どんなだったか知ってるよな?」
半分わらうようなそのききかたに、腹が立つ。
―― こいつ、さっきまで、ほんとのガキみたいな顔で遊んでたくせに。
「ああ、知ってるよ。クソくだらないパーティーだ。みんな素っ裸で、あちこちでクスリとセックスを」
「おれが聞いてんのは、《様式》だぜ」
「ん?・・・『ようしき』?」
言葉にしても、ジャスティンはその意味がすぐに頭に浮かばなかった。
目が合ったままのケンが、いつもと違うおだやかな声音でささやいた。
「 黒いカーテン、ロウソク、真ん中に残った灰、―― 小動物の骨 」
赤い口の魔女がわらう
「・・・・・・・・・じぇ・」
その先が声にならず、あのとき《マーク》と名乗っていた相手をただ見た。
ケンがあのときのおだやかな口調で話しかけてくる。
「ねえ、ジャスティン。ローランドの作った『パーティ―』と同じような様式の『儀式』を、あなた、 ぼくといっしょに見てますよねえ?」
「・・・あれは、・・・」
そう、彼女はあれを、『儀式』と言った。
ケンが断言する。
「ローランドとジェニファーは、同じことをしてる」




