笑えない
「ちがうね。ローランドになんか強請られたって、無視すればいい。世間的に信用されるのは、地位も金もあるほうだからね。しゃべったとしても、ゴシップネタで雑誌をにぎわせておわりだと思うよ。それにさ、―― ダメなら、ただ、彼の口をふさいでしまえばいいんだし」
親指と人差し指を立て、自分のこめかみを指す男は穏やかに微笑み続けた。
「―― つまり、パーティーに集まってた彼らは誘いに無理にのる必要なんてまったくないのに、自主的につどってるんだ。それって、彼らがローランドと同じ、城の中で《秘密の集会》を体験していて、その延長を《外》でも求めていたとしたなら、―― 理由にはなる」
「まて、まて、まてよ。なんだその『理由』は? ギャングが出入りして、すぐに警察に情報がもれるようなパーティーだぞ? それに、言葉がなんだか、おかしな感じになってるぜ?『秘密の集会』なんて、まるでほら、―― バーノルドの『魔女の集会』伝説みたいな・・・」
想像上のくだらない話しだと揶揄したつもりだったのに、なぜかルイに満面の笑みをむけられた。
「―― ローランドはあのパーティーとノース卿をつなぐようなことは口にしない。そのことを言うと、『ひどいめにあう』って思ってるからだ」
いままで黙っていたマークがむこうから断言した。
「『ひどいめ』?ノース卿に?おいおい、ギャングじゃないんだぜ?」
ジャスティンは笑いながら周りをみわたした。
だが、自分以外だれも笑っていない。




