うやむや
「―― 彼らの罪ってけっきょく、薬物取締と風俗規範についてぐらいだし、弁護士たちが、医者の診断書をかざして出廷もないだろうね。つまりパーティーに関する証言もこれで終わり。これだけの人数が捕まったっていうのに、新聞も、PCとラジオもニュースでも取り上げない。とにかく彼らはこの事件を全力でうやむやにしたがってる」
ジャスティンが深くうなずき、当然だ、と言う。
「恥ずかしい記憶ってのは、すぐに消し去りたいもんだ」
「きみにはそういう記憶がたくさんあるみたいだもんね。だけどさ、おかしくないか?みんな優秀な弁護士をかたわらに置いるのに、その弁護士たちでさえ、ローランドに責任があるってだれも口にしない。捕まった150人以上の人間たちがみんな、ローランドの名前もくちにしない」
どう思う?というウィルに答えたのはケンだった。
「きもちわりい」
たしかに、それは感じた。
「・・・じゃあ、おまえらの言い分を認めるとしよう。だけどいいか?もしあんなパーティーをほんとにノース卿がやっていたとしたら、《それを知ってる》ローランドが追い出されるはずないだろう?クスリに乱交だぜ。 仲間はずれにしたら、ゆすってくるのは目に見えてるだろ?」
そこで気付いたように、実際ゆすられたからあの連中はローランドのパーティーに出てたのかもな、と同意をもとめるよう周りを見ると、残念だけど、とルイの穏やかな声が返る。




