むすびつける
ローランドからとった調書には、《ノース卿に才能をささげてすべて奪いつくされ》《そのせいで作品が書けなくなった》など、自分の作家活動の失敗すべてをノース卿につなげる言葉がならんだ。
だが、パーティーに関しては、ノース卿のなまえはでていない。
まあね、と微笑んだルイが、「でも」と指先をむけた。
「不思議だとおもわなかったか?ここ数年で売れ出した劇作家のいかがわしいパーティーに、上流階級の地位も名誉もある人間たちが、どうしてあそこまで集まるのかなあって」
「まあ、それは・・」
たしかにそこは、おかしい。
「だからさ、そこにはそれなりの《地盤》があったって考えたほうが納得できるだろう? そこでおれたちは、あの出席者は、ローランドが『真似した』元のパーティーにも出席していた人たちだったって仮定した。 そしたら、やっぱり、あの城にある『教会』の信徒と、ローランドのパーティーの出席者が同じだっていうのが、さっき、スコットのおかげで判明した」
わかったかな?と、こどもにむけるよな確認をされる。
言葉につまったジャスティンの横、ウィルがルイに「城の『教会』って、あの、ナタリの教会と関係は?」などと聞いている。
「ないね。ナタリの弟の話し、覚えてるだろ?彼らの教会の場合小道具はアルコールと聖父のありがたいお言葉のみだってさ。クスリもなし。《なにかを燃やす》こともしないって、確認したよ」
たまりかねたジャスティンが立ち上がる。
「ちょっとまて。ナタリって誰だよ?おまえらおかしいぞ。なにもそこで無理にノース卿と結びつけなくても、」
「『無理』に、ノース卿の教会のメンバーと、ローランドのパーティー出席者を、ぼくたちがむすびつけたわけじゃないけどね」ナタリが誰だかわからないなんて、とウィルが嘆かわしそうに両手をひろげ、あきれたようにジャスティンをみた。
「出席者たちの調書読んだろ?あれ、いってることがみんないっしょだったね」
参加したきっかけはどこかのパーティーでローランドに声をかけられたことで、酒とクスリのせいで頭がおかしくなって、ここのパーティーのことはよく覚えていないし、ローランドとは以前に面識はない、という内容ばかりだった。




