表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
ねらわれた ジャスティン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

238/272

おなじ位置だった


 フックに提出したのは、普通の感覚の上司ならば、絶対に突き返すであろう種類の書類だった。


 予想外な対応をした上司のことを考えていると、話し声とともにドアが開く音がした。


「― ローランドが捕まってから、なんだか機嫌がさらに悪い」

「ありゃあ、あれだけの著名人たちを意のままに操っていたヤツのことが、気に入らないってだけだ」

「なんだかいつもの倍の催促がくる。バーノルド事件で誰かが動いてないか、何か進展はないのか、って。こっちは普通の仕事もしなきゃならないんだ。盗み聞きなんて手の空いたときにしかできない。なのにあいつ、きみたちもっとまじめに情報を集めろ、だと」

「防犯課のノアが警備官といっしょに手柄をあげたのも気に入らないのさ」

「そうそう。自分のしかけた盗聴器にノアが気づいてるってのも気に入らないんだろ。みんな知ってるのにな。おれ、そろそろシェパード派、おりようと思ってんだ。おれしか残ってないんだよ」

「ああ、うちもやめるやつが多い。前みたいに金もくれないしな」

 

 笑い声とともに出て行った男たちの会話は、自分の働く職場内で、電話を盗聴してそれを《情報》として一人の男にさしだすということが『噂』ではなく、本当に行われていたのだとしめした。


  ―― ってことは。ブライアン・フックは、盗聴される側か・・・


 たぶん、誰かは知らないが、自分の属す場所にも、『シェパード派』とかいうのがいるのだろう。


 そして、気の合わないと思っていた上司は自分とおなじ位置にいる。

 

 少し楽しい気分になったが、あの書類を提出するに至った昨日のことを思い出し、痛みのぶりかえした首をさすった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ