表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
初仕事

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/272

クソっ!


 そういうつもりはなかったが、コソコソと嗅ぎまわるように映っていたのかと思うと、今日から上司になった男の顔もちゃんと見られない。


「おい、レイの、何を知りたいって?」

 ひどく、平坦な声だった。

 反射的に見上げてしまった顔は、明らかに、何かの感情をおさえる気配がある。


「い、いや、その、この店で、働いてたりすんのかなあって」


 慌ててとってつけたようなその問に、バートの目がケンに流れる。


「にらむなよ。『レイ』の話は自然と出たんだって。 だいたい、なんでおれたちがこんな高級な店に出入りできんのか、誰だって疑問は湧くだろ?だから、先に、あんたの口からじかに教えておいたほうがいいんじゃねえの?」


 それにいやそうな顔を一瞬みせ、自分の黒い髪に手をつっこんだ男が、「いねえ」、とそっけなく言った。


「―― 今日は、レイはここにいねえ。働く場所は、ここだけじゃねえし、あんなんでも、けっこう忙しいやつなんだ」


「バートの友達?」

 ザックの問に、すぐに否定の返事。


「ちがう。が、・・・そういや・・・あいつと友達だったときなんて、まったくねえな」

 何かを考えるように、腕を組む。


「なんだそりゃ?じゃあ仲が悪い―― 」



          なんだって!?


 いきなりジャンの叫び声が、部屋のすべての会話を断ち切った。



 携帯を耳に当てたままの副班長が、窓際からこちらにむけて動かす指でなにかを訴える。

 周りが一瞬で理解し、バートが端末械をとりだして、命じる。


「ケン、PC借りてきてくれ」


 待っていたようにすぐに立ち上がると、ザックの肩を叩き、部屋を出ていく。

 

 ルイがテーブルクロスを引っ張り、他の男たちが食器をすべて端によせ、空いた場所にのせられた端末機の画面をみなでのぞきこむ。

 


 だされた写真に誰かが舌を打った。



「―― クソっ!」

   ジャンのそれは、その場にいた全員の思いだった。

 

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ