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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
初仕事

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ききたいこと


 いつのまにか自分の皿を空にし、残っていたザックの分の肉にまで手をだす男が、それをほおばり、先ほどまでの『ケン』と同じ人物とは思えない目で見つめてきた。


「なあ、おれたちの噂、ほんとうはじゅうぶんきいてるんだろ?訓練生の時に」

「・・・まあ、すこし・・」


「んなわけあるかよ。腐るほど噂はあるはずだ。おれのこととか。否定すんなよ。 ―― いいか?おれのことはどうでもいい。今日、この班にきて、実際に会ったみんなの印象はどうだったんだよ?かなりの部分で、修正したか?それとも、ひとからきいた噂どおりの印象だったか?―― だとしたら、おまえ、 さっさとこの班やめろ 」


「いや、その、」


「責めてるんじゃないぜ?感じ方は人それぞれだからな」


「おれは、」


「バートに憧れてここに来ただけだって?なら、かぎまわるな。 『レイ』はこの仕事と何の関係もないやつだ。噂話が好きなやつらはどこにでもいるが、おれたちの班にはそういうやつは、いらねえ。 ―― 他の班に行きたいなら、早めに言うんだな」

 食べ終えた皿に行儀わるくフォークを投げ置いた男は、口を動かしながら、じっとザックと眼をあわす。


 喉が、緊張を知らせた。


 バートとは違う意味で、眼を合わせる相手が、怖い。


 今まで会ったことのないタイプの人間だと、ここでようやく気づく。



    「ケン、なにしてる?」


 背後からかかった声に、合わせていた黒い眼が、いたずらを見つかった子どものように動いた。


「 ―― べつに。あんたが、いかにカッコイイか、って話しで盛り上がってた」

 その当人を見上げながら、平然と嘘をつく。


「あんまり新人からかうなよ」

「からかってねえって。そういやバート、―― ザックが、レイのこと、いろいろ聞きたいらしいぜ」


「い、いや、べつに、」

 あせるザックへ、ケンがにやついた顔を寄せる。


「気になるなら、じかに聞けばいいじゃねえか」


「・・・・・・・」

 たしかにそうだ。



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