任務の報告
タイミングを逃さずに続ける。
「きみは、あそこまで、望んでなかったんじゃないのかな?ただ、あの結果だけを、知ることになった。 ところが、その結果を知らせてきた相手が、これはきみの望んだ結果だなんて言う。知らない間にきみは、共犯者になっていた」
『わたしはなにもやってない!』
「だろうね。きみは『神様』に嫌なやつの名前を言うだけなんだろう?」
『ちがう!あのときはっ、―――― 』
明らかな迷いが伝わる。何かをいいかけるような間と苦しげな息づかい。
ゆっくりと、言葉を区切るようにジャンは発音する。
「真実を、知りたいんだ」
『っ、・・・・』
「ジェニファー、・・・もしきみが、何かを隠したことによって、今、自分自身を苦しめるようなことになっているんなら、もう、終わりにしよう。きみの両親だって、ほんとはきみのこと」
『だまれっ!!何も知らないくせにっ!!』
ガチャンッ!!と激しい切断音。
無言になった受話器をつかんだままの男に、「失敗だね」とむこうで受話器をもどすウィルから笑いがこぼれた。
「ジャンってさあ、ここぞってときに、女の子の扱いがヘタだよねえ」
通話の録音をとめた男が途中まではすごいよかったのにと首を振る。
自覚のある男は、うるせえ、と受話器をもどす。
「まあ、とりあえずわかったこともある。ジェニファーの『神様』は任務の終了を報告するし、あの三人のときは、あそこまで彼女は望んでなかった」
「でも、多少は願ったと思うよ。自分を置いて行った三人に不幸あれ、って」
「ウィル、・・・おまえ女の扱いはうまいけど、どうしてそう意地の悪いみかたしかできねえんだ?」
「意地が悪いんじゃなくて、女性の本質をみてるだけだよ。それに、女性のそういうところって、かわいいでしょ?」
ジャンが同意できない顔をしたとき、ドアが開き、色違いの揃いのシャツを着た男二人が姿を現した。
 




