表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
ジェニファーの呪い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

206/272

子どものいいわけ


しかたがないので、嫌でも視界がひらける公園に移動をしたのだが、嫌な感覚は変わらなかった。




つまり、《監視》を受けたままレイの家に来たことになる。




「 ―― 『どういうつもり』って?この家に来たことが?しかたないだろ。あのままボールを投げっこしててもきりがなかったし、もし、あの観衆の中に《呪い》を仕掛けるやつがいたとしても、どうやらたくさんの目撃者はいらないみたいだし」


「だからって、レイを巻き込むことねえんだよ」


「・・・どうしたんだよ?・・レイとどういう関係かは聞かないけど、今は仕事中のはずだろ」


「あのまま、公園で別れりゃよかったんだ」


「なら、はっきりとそう言えばよかったんだ。なのに、おまえは、口ごもった。 レイは、おまえに会えば、絶対いっしょに来ると思っている。  それがわかってるから、聞き返されて戸惑ったんだろ?彼の信頼しきった目を見て、それを裏切れないから、はっきりと断れなかった。―― 正直、驚きだな。あんなケン、っぐ、」

 壁に押し付けられ、片方の腕で頸部を圧迫される。



   「 いいか?おれたちの仕事に、あいつを巻き込むな 」



「っな、なら、・・・今度仕事中に彼を見つけても、声をかけないようにすればいい。いいか、彼に声をかけたのはおまえっ、・・っぐ、・・目が合ってもまったく無視できれば、ここにも来なかった」

「・・・・・・・」


 見合った眼はまだ怒っていたが、壁に押し付けていた太い腕がようやくどかされ、マークは壁に沿って崩れた。



「おまたせ。さあ、買出しに、って・・・・あれ?ど、どうしたの!?」


 壁にもたれて座り込むマークに駆け寄ろうとしたレイを、ケンが押しとどめるように片腕でひきよせた。

「マークのこと、レイがかまいすぎるから、腹が立つ」

「ええ?なにそれ、子どもみたいな言い訳だよ」


「おれに似てるからって、あんなやつかまわなくていいんだぜ?」

「似てる?あんまり似てないよ」


 マークの目の前で、ケンがレイを背中から抱え込み、その肩口に額をおしつける。

「なら、いいや。・・・マークのこと、ゆるす」


「もお、ほんとひどいなあ。―― マーク、ケンのこと許してやってね」

 飼い主のように、肩にある男の黒い髪をなでる。


 その二人を見上げ、まだ壁にもたれて呼吸をととのえる男は、苦笑するしかなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ