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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
ジェニファーの呪い

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ケンカしてキャッチボール


 マークははじめ、近い外見のせいの親近感かとも考えたが、そういうわけではないとわかったのは、ケンの思いがけない一言だった。


 

  おまえはおれを、観察しねえから


 

 なるほど。確かにケンはいろいろ噂もあり、謎の多い人物として、ある意味注目される存在だ。

 彼に興味がある人間に、彼の人間性を聞かれることがよくある。

 だが、マークはそれに答えないようにしている。

 知りたければ、付き合ってみればいいと返すのだ。


 マーク・リーは、そういう男だ。





「―― それで、帰されたのはいいけど、なぜか、ケンカの代わりにキャッチボールがはじまって」

 公園のベンチで仲良く三人、並んで座っている。


 顔の半分まで巻いていたマフラーをとったレイが、笑ってケンをふりかえる。

「ぼく、見つけたとき、きっと仕事中だろうから声かけないでおこうと思ったら、ケンが声かけてくるから驚いちゃったよ。ケンカ中だったんだね。―― でも、もう仲直りってことでしょ?」


 微笑むレイにケンが鼻をならした。


「べつに仲直りなんてしてねえ。 ―― それよりレイ、仕事に戻らないのか?」


 二人に挟まれて座ったレイは、均等に両側をみて微笑んだ。

「ぼくも、早退なんだ。これから家に帰るとこだよ」


「・・・そっか。一人で平気か?」

「うん。・・・ねえ、ケン、マークといっしょに、うちにこないの?」


「え?・・いや、だって、・・ほら、この前、アメリの店で、しばらく来るなって」

「あんなの冗談だよ。どうしたの?いつもはケンのほうが押しかけてくるのに」


「いや、でも、・・・今日はやめる」

「どうして?」

「・・・・・」


 この二人のやり取りを見て、マークは心底驚いた。

 だって、あのケンが、こんな子供みたいな会話をして、相手の誘いをはっきり断れずに、困っている。



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