おしゃべりピーター
申し訳ありません。200話こえてしまいました。
光を恐れたかのようにおとなしくなった裸の人間たちが手錠をかけられ、次々に連れ出されてゆく。科学捜査部が到着するころには、裸の人間はローランドしか残っていなかった。
先にたどり着いた上司二人が、会場を見渡すバルコニーにいた頭の大きな男に、ローランドさんですか?と声をかけ、とたん逃げようとする足もとへノアが威嚇射撃を二発。
あきらめておとなしくなったパーティーの主催者に、会場の連中に呼びかけるように指示したのだ。
連れ出される裸の人間はみな、ローランドが尊い者であるかのように、「司祭様」と手をのばし、芝居がかったように無事を祈る言葉を残し連れ出されていった。中には警察官へ「おまえたちのせいで司祭様は死ぬ!」と怒鳴る者もいた。
当のローランドは、明かりもつき、警察官のノアが手錠をかけ権利の説明をする間、体をゆらし、笑い続けた。
現場の写真として、電気を消した状態と明かりをつけた状態で《会場》を撮影してから、いっせいに黒い布が取り外されてゆく。シャンデリアと部屋の窓と壁をつたうようにひろげられていた黒い布は、ばかみたいな大きさで、信じられないほどの量使っていたことがわかる。
取り外し作業の途中、女の警察官がため息をつきその布をなで、買ったら高いわよ、と言うのをザックは聞いた。
会場の真ん中にあたる場所には薄い石の板の上にい燃えかすの山があり、灰があたりを汚している。そこを囲むように、大型のソファがそこかしこに置かれており、なにかのシミやら焦げ跡、転がったままのパイプやら垂れ落ちた蝋で汚れている。
家具はもっと大切に使うべきだ、と二コルがまじめに発言する。
「―― ああ、まったく。いまひきあげた参加者たちの顔をざっとみたかぎりでも、かなりの財力と地位だな。みんな相当な弁護士を送り込んでくるだろう。本部にそれが大挙して押しかけてくるのを想像するだけで、頭が痛くなる」
それでもノアの口調は嬉しそうだった。
ローブをまとってソファに座る、頭の大きな男はもうすぐ四十歳というはずだが、ふてくされたようにノアたち警察官の質問には答えずに、あんたたち不法侵入だよ、とわらっている。
いいかげんあきれたノアが《警備官》に交代すると告げたとたん、足を組み替え手をうった。
「ああそういえば、サウス卿の子どもが警備官になったとかいうはなしがあるなあ」
おおげさに手をひらいて驚いてみせる。
「それでこれか。まいった、失敗したなあ。てっきり親子の縁を切っているのかと思ったよ。だって、あのサウス一族から、戸締り確認の仕事をする人間なんて、ふつう出すかなあ?それとも、とにかく一族に置いておきたくなくて、追い出したのかな、―― なーんて、作家として想像力をかきたてられちゃうんだよねえ、だいたい」
「『おしゃべりピーター』は黙っていられないけど、ほんとのことは話さない」
「!?」
まだ先がながく、
前、中、後 として分けようか考え中です。
 




