アレだよ!
「なるべく無傷で確保!!」
なだれ込むように飛びついてきた無数の裸の人間たちを透明な盾でおしのけ、警察官のだれかがさけぶ。
「ムリムリムリ!!」
叫んだザックは、正気ではない状態でつかみかかってくるいくつもの腕をよけながら、周りを確認する。
自分といっしょの班の警察官たちが、いつのまにか自分を守るように取り囲み、裸の人間とつかみあっている。
奇声と怒号といろんなものがぶつかり合う音。
どうみても普通とは思えない興奮状態とその表情を、警官が持つライトで浮かび上がらせている。
「近すぎる!ザック!銃をしまえ!!」
どなった警官が、盾と警棒のみで、襲い掛かる群れをふうじようとしているのが見えた。
裸の人間たちの力が異常なのか、押され気味にみえる。
とりつかれた警察官が、そのまま組み合い、あちこちで倒れこんでいる。
闇と、限られた視界と、 混乱と
しまうようにいわれた銃を、両手でがっちりつかんだままのザックは、動くこともできず、むかしよくやったゲームを思い出す。
――― あれだよ!あれ!《アレ》を、撃ちまくるやつ!
この光景は、まさしく――― 。
安全装置をはずし、かたく握りなおした両手が、警察官に食いつくようにせまる男を自然に追った。
「いてえっ!!」
叫び声に振り向けば、髪をふりみだした女が警察官の腕に、喰いついている。
――― やっぱり、アレだよ! 《ゾンビ》だ!
誰かがむけた光の中、うなり声をあげ、人とは思えない顔で喰いついている女を見た。
瞬間。




