搬送車の列
これからノアとバートがむかう先は、(レイの店ほどではないが)客の服装にケチをつけるのを許されているレストランで、食事よりも、貸し出している裏手の建物での、パーティーや、催し物で有名な店だった。
貸し出しの建物の一階は、高い天井に中二階もある大会場。
三階にあたる部分から上五階までが宿泊施設になっている。
部屋は八室しかなく、最上階の二部屋はスイートルームだ。
事前に集めた噂話を報告で受けたバートは、念のため、同業者にあたるレイにも、その店のことをたずねた。こたえはやはり、『おかしな人たちが、ホテルに出入りしてる』という噂であふれているということだった。
『レストランの評判もさがっちゃってるから、なにかあったらバート助けてあげてね』なんて心配顔でつけたされたが、はっきり言ってすでに『助け』られるような状況ではないのだと、ノアを横に乗せた車で思う。
ルームミラーには、後ろに連なる黒い搬送車。
通行人がなにごとかと振り返る。
「まさかそっちに、ジャスティンを引っ張り込むとはな」
走り出してすぐ隣からノアが楽しそうな声をだし、先日、『たまたま出会った警察官をいっしょにジェニファーのところへ連れて行った』と、ジャンに事後報告されたのを思い出した。
「ジャンがいうには、喜んでついてきたって話だ」
「おれも、そうからかったら、『否定はしないが偶然だ』、ってさんざん言い訳してたさ」
ノアの家にかかってきた興奮した若い警察官のようすを思い出し、少し笑う。
あの湖にあった骨がレオン事件の犯人だとわかってから、警察内部はすこしごたついた。




