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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
残ったのは ジェニファー

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木彫りの人形



「今から、その、録音を止めてちょうだい。 いい?これには《儀式》と同じだけの効果があるわ」

 

 興奮しすぎで震えるように発音する女が、脅すように突き出す手にあるものは、よくみれば、木彫りの人形のようだ。

 

 長さ十五センチほどの灰をかぶったそれは、炭のように黒かった。

 

 立っているのか座っているのか、半分は顔。半分は足のようだ。

 見たこともない造形様式で、顔と思われる部分に大きな目玉のようなものが三つ、見て取れる。



 ジャスティンは、握った機械を停止させ、そのままポケットにしまった。

 

 見届けた女がうなずいて、《マーク》をにらみすえる。


「さあ、あなたの名前を教えて」

 鼻先につきつけるように、人形に名を教えるよう命じる。

 

 男は眼鏡を押し上げながら、「マーク・リー」と簡潔に答えた。


「歳は?」

「何かの入会申し込み?24歳だよ」


「ほんとに?もっと若く見えるわね。まあいいわ。仕事は警備官。間違いない?嘘を言うと、後でひどいことになるわよ」

 

 その脅しにかるく微笑んだ男は、ジャスティンに聞けばいいと相方をさした。


「おれも入会したほうがいい?」

 本当はいやな緊張をしているが、軽い声をだす。


「あなたは、『証人』よ。これから起こることを、よく見て、そして証言するのよ」



 ジェニファーは、魔女のような笑いを浮かべると、木の人形をひねった。

 ぎゅい、といやな音をだした人形は、半分になる。





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