マーク(ケン) 対 ジェニファー
ケンの笑い方をした《マーク》が言う。
「いや、ジェニファー、悪かったよ。きみに聞かなきゃならないのは、保安官の件だけだね。あの三人のことは、まったく別だし、やっぱり、あれはただの事故だな。 クスリをやりすぎで飛び込んだ。自分で最後をむかえたんだ」
「ちがうって言ってるでしょ!あれは、わたしにかかわったからなの!」
ぐるぐると勢いよく《マーク》のまわりを歩きはじめた女が、大きな身振りをくわえてしゃべる。
微笑んだ眼鏡の男はゆるく頭をふる。
「ジェニファー、そんなに自分を責めるもんじゃないよ。きみのせいじゃないんだから。『自分にかかわったせいで彼らが死んだ』なんて、無理に考えなくていいんだよ」
「無理にじゃない!ほんとにわたしのせいなのよ!」
立ち止まり身体を男にむけると、その場で足を激しくふみならし主張する。
《マーク》は、あわれむように女を見てから、ジャスティンに眼をやり、ゆっくりといたわるように、優しい声をだす。
「そんな主張、――― それこそ、証拠もないデタラメだよ」
ついに、ジェニファーがキレたような声をあげた。
「それなら!証拠をみせてあげるわっ!!」
飛びつくように部屋の真ん中にある焚き火あとへと膝をつき、灰の中から何か黒い物体を取り出す。
ジャスティンは一瞬、女が銃をとりだしたのかと思い、焦ったが、こちらにつきつけるよう伸ばされた手の先に握られたものは、どうやら、燃え残った薪のようだった。
――― いや、・・・・薪じゃない・・・




