わたしのせい
「きみは、どこで寝てるの?」
あたりをみまわし《マーク》が聞いている。
下のソファか、隣の部屋よ、と女がえらそうに腕を組む。
「話しを聞くのは、その『隣の部屋』にしますか?」
「ここでいいわ」
にんまりとした赤い唇に、ジャスティンは子どものころ大嫌いだった、『魔女』のはなしを思い出す。
「あなたたち、ピートたちのことを聞きにきたんでしょ?」
あいかわらず、顎をあげぎみに女がたずねる。
「ええ。まあ、別の件もありますが、本題はそこですね」
「わたしがあの三人を『やった』って思ってるの?」
挑むような女の視線を受け、聞き役の《マーク》が、ゆっくりとうなずいた。
「ええ。思っています。なにしろ、彼らはあなたからの連絡を受けてから、行方不明になってますから」
「ああ、そうね。―― じゃあ、言うわ。―― あの三人が死んだのは、わたしのせいよ」
勝ち誇ったようなおかしな宣言に、男二人は視線を交わす。
「今のは、―― きみが犯人だっていう告白かな?」
穏やかな《マーク》の問いに、ジェニファーの高い笑い声が響く。
「わたしが犯人?冗談じゃないわ。死んだ『原因』がわたしだって言っただけよ」
ジャスティンは、ぼんやりした明かりに浮かぶ女の顔が別人のように見えてきた。
魔女の顔をした女がこちらを見る。
「『原因』よ。―― わたしに関わると、馬鹿な人たちは死んじゃうの」
「・・・へ え?」
間抜けな声をもらした男の横で、眼鏡を押し上げた男が聞く。
「その、『馬鹿な』っていうのは、きみだけ置いて逃げてしまうとか、そういう?」




