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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
残ったのは ジェニファー

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わたしのせい


「きみは、どこで寝てるの?」

 あたりをみまわし《マーク》が聞いている。

 下のソファか、隣の部屋よ、と女がえらそうに腕を組む。


「話しを聞くのは、その『隣の部屋』にしますか?」


「ここでいいわ」


 にんまりとした赤い唇に、ジャスティンは子どものころ大嫌いだった、『魔女』のはなしを思い出す。


「あなたたち、ピートたちのことを聞きにきたんでしょ?」

 あいかわらず、顎をあげぎみに女がたずねる。


「ええ。まあ、別の件もありますが、本題はそこですね」


「わたしがあの三人を『やった』って思ってるの?」


 挑むような女の視線を受け、聞き役の《マーク》が、ゆっくりとうなずいた。


「ええ。思っています。なにしろ、彼らはあなたからの連絡を受けてから、行方不明になってますから」


「ああ、そうね。―― じゃあ、言うわ。―― あの三人が死んだのは、わたしのせいよ」


 勝ち誇ったようなおかしな宣言に、男二人は視線を交わす。



「今のは、―― きみが犯人だっていう告白かな?」


 穏やかな《マーク》の問いに、ジェニファーの高い笑い声が響く。


「わたしが犯人?冗談じゃないわ。死んだ『原因』がわたしだって言っただけよ」

 


 ジャスティンは、ぼんやりした明かりに浮かぶ女の顔が別人のように見えてきた。

 魔女の顔をした女がこちらを見る。


「『原因』よ。―― わたしに関わると、馬鹿な人たちは死んじゃうの」


「・・・へ え?」

 間抜けな声をもらした男の横で、眼鏡を押し上げた男が聞く。

「その、『馬鹿な』っていうのは、きみだけ置いて逃げてしまうとか、そういう?」



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