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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
残ったのは ジェニファー

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『炎』



「―― じゃあ、ここで、もし、わたしがあなたたちに何かをしても、反撃できないってわけね?」


「できないでしょうね。なにかするつもりですか?」


「どうかしら・・・入っていいわ。ここがわたしの部屋」

 警戒をあらわにしながらも、獲物をとらえたような視線と笑みをにじませて、ジェニファーは扉を押し開けた。




「・・・・おい、なんだ?・・・」

 扉の中を目にしたジャスティンが思わず口にする。


 柔らかい光があふれる廊下から一転。そのむこうは《つくられた闇》だった。


「どうぞ。遠慮しないで入ってよ」

 ドアを押さえた女が笑う。


 《マーク》がそれにこたえるように笑顔をむけ、足を踏み入れたので、しかたなく、ジャスティンも後に続く。

 

 電灯はなく、足元のところどころに、年代物のランプが置かれている。天井からは、幾重にも黒く重い布が垂れさがり、どこが壁かわからないどころか、部屋の広さも見当がつかない。

 床まで届いたその布で、即席の迷路のようになっている。



 薄明りを頼りにおそるおそる迷路を進むと、ぽかりとできた広い空間にたどり着いた。

 床には、何本ものロウソクが無造作に立てられ、いくつかは火をともしたままだった。

 流れ落ちる蝋がそのまま白いかたまりをつくって、デザインを施したしゃれた床をよごし、部屋の真ん中だろう場所には、なにかを燃やした灰がこんもりと溜まっている。


「危ないね。部屋で焚き火なんて」


《マーク》 のそれに、ジェニファーは鼻にしわを寄せて答えた。


「焚き火じゃないわ。 ―― これは、《儀式》のための『炎』を呼び出したの」


「儀式?なにの?」


「神に捧げるものよ」


 聞き返した男を馬鹿にするように肩をすくめて笑うと、足元に転がる小さな動物の、頭蓋骨を蹴飛ばした。



 ――――― まさか、あれをここで燃やしたんじゃ・・・


 動物好きの男は、女に微笑みかけられて、寒気がすると同時に、怒りがこみあげる。




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