それで? (ジェニファーの両親の証言)
妻をともない現れた男の顔は硬く、どう見ても四人が歓迎されていないことを表している。
ひととおりの紹介が終わると、足と腕を組んで座る当主が、重い声を出した。
「―― それで?うちの娘に、どのようなお話が?」
男の隣では女が四人を非難するように見つめている。
ジャンが一呼吸おいてから、いつものように落ち着いた声で説明しはじめた。
「ご連絡したとおり、娘さんが二年以上前、ある《芸術運動》グループに入っていたのはご存知ですよね?」
「ええ。―― あれは、娘の気の迷いでした」
「そうかもしれませんが、とにかく、そのときに《特に》仲良くしていた三人をご存知ですか?」
「いえ」
「よくここへ車をつけていた若者達です。何度か、不審車両で警察へ通報されています。ご近所の方も、覚えていると思うのですが・・」
母親である女が、険しい顔をみせ、夫が手をなでて無言でなだめる。
「―― ・・・たしかに、いました。何人だかわたしは知りませんが、妻は一度だけ、家に来たその子達を見ています」
「一度だけよ。一度っきりだわ」
女の強い言葉にジャンはうなずく。
「『その子達』が、このたび遺体で見つかりました。マーノック湖の底から、車ごと」
「・・・おお・・」「・・ひどい・・」
二人の驚き方をみて、ジャンはつけなれないタイをいじる。
驚いたまま、次の言葉を待つようにこちらの顔から眼をはなさない夫婦は、きっと、本当にまったく、何も知らないのだろう。
「―― その三人と、どうやら最後に連絡をとったのが、娘さんらしいのです」
「なんですって!?」
思ったとおり、叫んだ母親が腰を浮かす。
過剰な反応は、ドナ・ホーンの姉を思い起こさせる。




