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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
初仕事

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心より歓迎


 『A班』とかかれたプレートが光るドアのむこう、そこはまったく普通の会社のように、机も椅子も電話もそろった明るいオフィスで、腰掛ける男たちも私服にきがえた今、のんびりとした昼食あとそのものだった。


 先ほどあれだけ緊張を要したこの部屋の責任者の姿はないが、代わりに先ほどはみなかった男がいた。


「おう、待ってたぜ」

 立ち上がり、ザックに握手を求めてきたのは、濃い金色の髪をした男だった。

 握った手をそのままもちあげ、目をあわせて微笑む。それはどこか相手を安心させる眼だった。


「先に言っておくからな。ケンの誘いにはのるな。ニコルは頼っていいが、へんなところで細かい。ルイの笑顔にだまされるなよ。ウィルはああみえて、荒っぽい。バートはあのとおりの男で、おれが唯一この中でマトモな人間だ」


 いっせいに、ブーイングがおこる。


副班長サブチーフのジャン・クレイグだ。ものずきなおまえを心より歓迎」

 さぞかし女にもてるだろうと思わせる笑顔をむけられ、よろしくと返す声が小さくなる。

 気にした様子もなくジャンはザックに話しかける。


「おれがあそこにいなかったのは、別に恋人に電話してたからじゃねえからな。これからおまえの歓迎会をする場所を、おさえてたんだ」

 

 なるほど。たしかに『マメ』な男のようだと納得し、店名を聞いて驚いた。

「ええっ?そこって確か、なかなか、予約とれねえって・・・」

 しかも、高級店の部類に入る。

 

 自分の懐ぐあいを思い出し、ここの男たちはそんな場所で酒をのんでいるのかと、先を考えて眉をしかめれば、「バートのツテだよ」とウィルが前髪を払う。


「すげえ。そういうところにも顔がきくんだ・・・」

 思わず感心するのに他の男たちがさもおかしそうに視線を交わす。


「まあ、くわしくはこんど話すけど、今日は会社の金だ。気にすんな。 あと、本当は、ちゃんとした格好でなければ入れないそこに、おれたちはこの格好でいける」

 ジャンが自分のTシャツとジーンズを指し、いちばんひどいのはケンだけどな、とその上下モスグリーンの服装を顎で示す。


「しかたないんじゃないの。私服と作業服の違いが、わからないんだから」

 言ったウィルをケンがにらみ、こいつだってそんなかわらねえだろ、とザックの、疲れたシャツとカーキのパンツを指差した。


 恥ずかしいが、否定しようがない。


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