つづきを どうぞ
我慢できずに、二コルがルイの横に立つ。
「あんたなあ、何を迷ってるんだ?学者としての身の保身か?同じ学者仲間を売ることに抵抗あるってことか?でもな、いいか、このままじゃあんたも参考人だけで終わらないぞ。―― ナタリの交際相手を誰も知らない。ナタリの弟は、それをあんただと思ってる。ついでに言えば、彼はナタリの本をあんたに譲る気はないそうだ。―― おれたちも、あんたが誰かの名前を出したとしても、そいつをすぐに犯人と決め付けるほど、間抜けじゃない。―― ただ、これ以上あんたがそいつをかばって出し惜しみするなら、うちの本部に、」
「ちがう。なにも、かばっているわけじゃない。・・その人物のことを話すのには・・・、わたしがいかに、ひどい男なのかを話す必要がある・・・」
まだかよ、とザックがため息をつき、ニコルもうんざりしたような息をこぼしたが、ルイはどうぞ、と穏やかに促す。
「ナタリが・・・・。彼女が、この事件に巻き込まれたそもそもの発端は、わたしにあるし、なぜ巻き込まれたのかその理由もわたしは知っている」
「はあ?じゃあなんで警察にいわないんだよ!」
叫んだザックがルイとニコルのあいだをわってはいった。
「つづきをどうぞ」と、ザックの頭をおさえこんだルイが再度促す。
 




